*Only winner* (ページ16)

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『バリちゃん居ますかー』

「居ませーん」

『あ、じゃあ大丈夫でーす。失礼しましたー』

「ちょ、待って待って！居ます！」

入ってくるなり、リッキーのボケにテンポ良く乗っかったA。そのまま出ていこうとしたのをヨッシーが慌てて引き止める。

「テンポ良すぎるやろ！」

『間髪入れずに居ませんって言うから、そういう流れかなと思って』

「反射神経が凄すぎるから」

「いや～、Aちゃん真顔でボケるのオモロすぎるって。さすが関西人！」

『あ、ありがとう……？』

竜太くんと未来がツッコんでる隣で謎の褒め方をしてるリッキー。
困惑するAに利樹が声をかける。

「どうしたの？何か用事？」

『あ、うん。渡したい物があって』

「お？もしや？」

「チョコか？チョコなのか？」

『……欲しい？』

「いや、別に」

『……帰るね』

「「「「わああああ！！！」」」」

俺と竜太くんで煽って立てたフラグを綺麗に叩き折る未来。
機嫌を損ねてしまったAが再び出て行こうとするのを全員で宥める。

「うそ！嘘です！欲しいです！！！」

「欲しすぎて昨日寝られへんかったぐらい楽しみにしてました！！！」

「作って頂けて心の底から嬉しいです！！！」

未来、リッキー、竜太くんのお調子者三人衆の必死の訴えに、Aも思わず吹き出して笑う。

『最初から素直に受け取ってよ。はい、利樹』

「わ、ありがとう～」

『流星～』

「あざーっす。あ、カード付いてる」

「《ヨッシーのフェイクが好きです》
……なんか照れるな」

みんなが自分宛てのメッセージに食いつく中、流星だけはマイペースにブラウニーを食べ始めている。

「ブラウニーうまっ」

『……そういえば味の感想初めて聞いた。大丈夫？美味しい？』

「美味しいよ」

『良かった』

流星からの褒め言葉にふわりと笑ったA。
相変わらず美人やなあ、と横顔を眺めていたら、視線に気付いたのか俺のほうに顔を向けてきた。

『あ、まさに渡してなかった』

「うん、貰ってへん」

『ごめんごめん。はい』

「ありがとう」

《唯一の同学年、これからもよろしく》

たった2人のTRIBE最年少組。
お互いにしか分からないこと、言葉にしなくても分かり合えることがたくさんある。

メンバーとも先輩後輩ともまた違う絆で結ばれた、運命共同体。

「A、いつもありがとう」

『、急にどうしたの？』

「なんか、言いたくなってん」

『なにそれ』

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