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『ファンタ、いま大丈夫？』

リハしてたら急にスタジオの扉が開いて、ひょこっと顔を覗かせたのはGENEの末っ子。

「Aじゃん。どうした？」

『お届け物しに来ました』

「お届け物？」

『今日は何の日でしょう』

はてなマークを浮かべる世界さんと澤夏にニヤリと笑いながらそう言ったA。
カレンダーに目をやった黎弥が大声をあげる。

「…………あ゛っっっ！バレンタイン！！！」

『いや、うるさ』

「今年も作ってきてくれたんですか？」

『うん』

「やったあ！Aちゃんのチョコ！」

颯太と慧人の最年少コンビは素直に喜びの言葉を口にしている。うちの子かわいい。

『そんなに喜んでもらえるなら作った甲斐があるよ。はい、慧ちゃん』

「わあーい！」

『勇征くん』

「はーい」

Aの周りに群がるメンバーたち。チョコを手渡されてみんなニコニコしている。

『はい、なっちゃん』

「ありがとう……って、あれ？手紙付いてる……？」

『あ、メッセージカード付けてる』

「本当だ。すごいね」

「えー嬉しい。黎弥くんなんて書いてありました？」

自分たち宛のメッセージを読んで嬉しそうに頬が緩んでいる澤夏と勇征。
勇征は何故か黎弥のカードも覗き込んでいる。

「《いつもうるさい声に元気もらってます》……これ俺、ディスられてね？」

『そんなことないよ。気のせい気のせい』

「嘘つけお前！」

黎弥の馬鹿デカい声に、Aは顔を顰める。

『……ちょっと、本当に黎弥くんうるさい。そういうとこだよ』

「あっ、こういうところか……！」

「まあ、お前らもれなくうるさいけどね」

「テンションが高いんだよなー」

やかましい黎弥を筆頭にわちゃわちゃしてるメンバーの輪に世界さんと共に入ると、Aと目が合った。

『はいどーぞ、大樹くん』

「おお、ありがと」

《優しくて面白いお兄ちゃん、大好きです》

可愛らしいメッセージに、自然と頬が緩む。

サポメン時代から妹的存在のA。
今でも『お兄ちゃん』と呼んで慕ってくれるのはシンプルに嬉しい。

「まだお兄ちゃんって呼んでくれるんだ」

『んー？大樹くんは、ずっと私のお兄ちゃんだよ』

「……ほんと可愛いなあ！！！
今度奢ってやるからご飯行こうな！！！」

『奢り？やったあ』

掌の上で上手いこと転がされてる気がしないこともないけど。

俺にとっても、Aはきっと一生、可愛い妹だ。

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