*Only winner* (ページ14)

今日:19 hit、昨日:8 hit、合計:125,705 hit

◇ ページ14

.

『失礼しまーす』

スタジオでリハーサルに打ち込んでいた俺らの元へ突如現れたのは、EXILE TRIBEのお姫様。

『チョコ届けに来ました～』

「わ、今年も作ってくれたの？ありがと～！！！」

「今年は何作ってくれたん？」

Aさんの姿をいち早く捉えた陸さんと翔吾が入り口へと駆け寄っていく。

『今年はね、ブラウニー』

「「「「「「おお～！！！」」」」」」

肝心の中身が発表されて歓声をあげる男たちに囲まれニコリと微笑むAさん。

『配るから名前呼ばれた人取りに来てね。まこ～』

「はーい」

1番手に名前を呼ばれた慎が可愛らしい包みを受け取る。

「中身バラバラなの？」

『中身は一緒。1人1人にメッセージカード付けてる』

「……えっ、マジじゃん！しかも手書き？」

『うん』

慎とAさんのやり取りに、おお〜っ！と感嘆の声が上がる。

「マジか」

「やっば！Aさんからの手書きメッセージとか、レアすぎるでしょ！」

「忙しそうやのに、よくそんな時間あったな」

『今年は時間の余裕あったからそんな大変じゃなかったよ』

まさかの手書きメッセージに静かに驚く健太さん、はしゃぐ昂秀、ねぎらう山彰さんと、各々のリアクションを繰り広げるメンバーたち。

『はい、いっちゃん』

「ありがとう。毎年すごいね」

『そうでもないよ』

「ホワイトデー、お返し待っててね」

『わあ、さすがいっちゃん。GENEは誰もお返しの話しなかったのに』

「でも毎年ちゃんと貰ってるでしょ」

『まあ、それはそう』

チョコを受け取ってわあわあと盛り上がるメンバーを少し遠巻きに眺めていると、俺の分であろう包みを手にAさんがこちらへ向かってきた。

『はい、壱馬くん』

「ありがとうございます」

《いつでも誠実な壱馬くん、尊敬してます》

ちょっとした一言だけど、ありきたりな文章じゃなくちゃんと1人1人に宛てて書いている。

こういうところが、彼女が沢山の人から愛され、認められ続けている理由なんだろう。

「……お返し、何がいいですか？」

『え？いや、気ぃ遣わなくていいよ』

「俺がしたいだけなんで」

『って言われても……思いつかないや』

急な展開に悩む素振りを見せるAさん。

「あ、じゃあこうしましょ」

『ん？』

「2人で飯、行きましょうよ」

『……考えとくね』

困ったように笑ったAさんは、きっと食事には行ってくれないだろうとなんとなく悟った。

.