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「ユイ、ユイ、ユイ!!」

私はユイのもとに向かった。
だが、さおりさんが私に足をかけて転ばす。

ズデンっと床に叩きつけられる。痛かった。

それでも私は、すぐに起き上がってユイのところに行った。

「あ、あ……A……」
「ユイ!大丈夫!?」
「む、無理、無理、無理!怖い怖い!!」

ユイじゃないみたいだった。

無理と怖いを連呼しながら泣いているユイに、私はどこかで見たことがある気がした。
どこだっただろう?

……あぁ、そうだ。

ユイがバドミントン部だったときだ。

放課後、たまたま人気のないトイレに言ったら、ユイが泣いているのを見てしまったんだ。
そこで、今のような感じで無理と怖いを連呼していて……。

あのときは、部活をやめるってだけで、元凶である委員長から逃げ出せた。
でも今回は……__


……__逃げられない。


卒業するまで、無理だ……。
あと約一年半。長い。とっても、長い期間。
いや、でも私達は雅ちゃんの代わりだし……。

でも、雅ちゃんがずっと来なかったら?
それだとずっと同じような……__。

それだけは嫌だ!嫌だ嫌だ!

「なーにしてるのかなあ?」
「……ひっ、ひっく、こわ、怖い……無理、怖い、怖い怖い怖いよぉ……!」
「んー、ユイちゃん脆すぎ!!里子、さおり、蹴っちゃっていいよ」

ノアが二人に指示を出す。
私はノアの神経を疑った。

こんなにもユイが怯えているのに、泣いているのに、どうしてそんなことが言えるのか。

ユイは反論するだけでも精一杯で、少しでも何かされたら恐怖が溢れ出してしまいそうだったのに!
それに気づいてユイを押して机にぶつけてたのなら、私はお前らを殺してやる!
気づいてなくともお前らを恨んでやる!!

「いっ、いたっ、痛いよ、痛いいぃ……!!」
「……」

私は無言で立ち上がった。

笑っていたノア達がこちらを見た。
知らんぷりをしていたクラスの奴らもだ。

「あれ?何?唯一の友達が泣かされちゃってるから立ち上がろうってわけ?」
「……」
「無視ぃ?」
「……」
「ねぇ」
「……」
「ねぇ、ちょっ__……ひっ!?」

私はノアのすねを蹴った。
さぞ痛いだろう。そのまま「痛い痛い」って泣けばいい。

まぁ、泣かないだろうけどね。

里子とさおりは驚いたように目を開きながらこっちをただ見てくるだけ。
うん、あいつらは何もしてこないだろう。
なら……__。

「おい」
「な、なに、よ……!」

私はノアの肩を掴んだ。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時

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