【黒○】好きすぎて、どうしよう【赤降】

第十話 赤○side ページ11

人と対戦したのは久しぶりだったから、すごく楽しかった。真太郎とは簡単に会えないし会ってくれないし、光樹はこれからもいい相手になってくれそうだ。

が、しかし。ここどこだ。……やってしまった。浮かれて、ろくに案内を見ずに突き進んだのがまずかったか。駅の中で迷子だなんて。

そうだ、光樹は待ち合い室にいるって言ってたんだ。待ち合い室……待ち合い室……えーーっと……。あった！これか。よし、もう大丈夫。あとは案内に従って歩くだけ。

待ち合い室をのぞくと、彼はいた。時計を気にしつつ壁に寄りかかっている。

「あ、光樹！やっと見つけた！」

「征！あの、えっと、」

さっきまでクールぶって立っていた光樹のあたふたする様子が可愛くて、思わず笑いがもれる。

「ふふ、こんにちは」

「あ、うん、こんちは」

手を差し出したら、光樹も握り返してくれた。握手するだけのつもりだったのに、いざ掴んでしまうと離すのがもったいない気がしてきた。

「僕おなかがすいたみたいだ。光樹、夜ご飯にしようか」

手を握ったまま歩き出してみる。さっき美味しそうなラーメン屋さんの前を通ったんだ、って言おうと思ったのに言葉が続かなかった。なんだか早足になってしまう。あれ、僕、もしかして……ドキドキしちゃってる？

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