君との約束〜この声で伝えるよ〜

4.優しい君　〈Ｋi〉 ページ6

抗がん剤をやって3日目...
どうしようもない吐き気が俺を襲う
たまたま近くに藤ヶ谷が居たからよかったけど
あのままだと、どうなってたんだろう...？
強い吐き気のことが、俺の頭の中を駆け巡る
誰が何してくれたかなんてほとんど覚えちゃいない

だけど...

横尾さんの手が温かかったのは不思議と覚えている

今は、部屋で藤ヶ谷と2人きり
お互い何を喋るわけでもなく
いつもの距離で、いつもみたいにチラッて目を合わせるだけ
...何、いえばいいんだろう

「ありがとう」？
「ごめんな」？

たった一言、何か言わなきゃって考えてた
その時、藤ヶ谷が口を開いた

Ｆ「大丈夫か？」

その「大丈夫か？」は今の俺には受け止めきれないくらいの優しさで...

応えるのに少し時間がかかった

Ｋi「...う、ん」
Ｆ「ったく...心配させんなよ!」
Ｋi「ごめん」
Ｆ「...でも」
Ｋi「えっ...」
Ｆ「でも、さ
辛いときは俺でも、誰でもいから相談しろよ？」
Ｋi「サンキュー」
Ｆ「ニコッ)

俺...お前に出会えてよかった」
Ｋi「俺も!」

...そういうと優しく笑う君
俺よりも苦しい思いしてるのに、何で笑えるの？



藤ヶ谷は、強いよな







俺とは違って...

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