Limit 53. ページ9
説明された限りでは、一人の研究者が言い出したのを始めに
何人もの同じ研究者が、それについての調査を進めて来たそうだ。
どうせ言いだしっぺの言った事など、出任せに決まっていると思いながら。
──しかし結果はどうか。研究者の全員は、口をそろえて
最初に言い出した者と同じことを、必死の形相になって話していたという。
“世界は危機に陥っていた。既に救いようがない。この星で認められる怪奇現象で
空が変色し、土地が荒れ、崩れて行っている場所が疾うに存在していたのだ。”
そしてその原因不明の現象は、最初こそはこの星における
ほんの一部分の領域に過ぎなかったが、今も尚、徐々に広がりつつある。
誰も止められない荒廃が、星と空──要するに、世界中を覆いつくそうとしている。
──A達が六歳の時に、ある研究者は更にこうとも話していた。
“この世界の寿命は、荒廃の進行度から察するに残り十年といったところだろう。”
それから四年が絶ち、十歳になり──残りは六年。
こんな時になって、彼女の両親は世界の現状を自らの子供に打ち明けた。
ある家庭では、知らない方が幸せだと考えて話すらしないところもあるのだろう。
ただやはり、これを聞かされたAは言葉を失ってしまっていた。
『……これでわかっただろう。今や世界は、Aが
空を夢見続けられる余裕すら持って居ない──だから諦めるんだ』
『そんな……。だったら尚更、私は空を飛ぶために頑張って居たいよ!』
こんな話が真実であって、逃れようのない事だというのなら尚更だ。
元々諦めようなどとは思っていない夢──両親から話を聞いた
Aの中では、空に対する夢が更に大きく膨れ上がるばかりだった。
だが父親は、そんな彼女に言い聞かせるようにして訴え続ける。
『A、もう時間は残されていないんだ。
限りある時間の中では、その夢は実現できない──違うかい?』
今この時から考えて、残された時間は約残り六年。
たった六年で、まだ実現していない空を飛ぶ技術を生み出し、更に具体的に実物も
作る事を考えれば──彼女の年齢込みにしても、言うまでも無い事だ。
図星だったAは、返す言葉も失って口を噤んでしまう。
母親はその娘の姿を気遣わしげに見て、また、夫の姿を視界に入れた。
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(ﾟДﾟ)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか？ (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年8月30日 0時
