彼女だって 水 ページ5
真っ青で真剣な顔で、彼は駆け寄ってきた彼女と目を合わせ、大きく息を吸う。彼女の表情が、安堵から一瞬で不安へなる。
口を開いた彼の言葉に合わせて、彼女に表情はどんどん変わっていく。
「今日、検査を受けた結果、あることが発覚しました。」
ーーーやめてーーー
「ははっ、どうやら...見つかるのが遅かったらしく、」
ーーーそれ以上ーーー
「... もって後、1ヶ月だと。」
ーーー言わないでーーー
ガクリ。
膝から崩れ落ちる彼女は、地面を見つめたまま、動かない。
内心、彼は少しだけ申し訳ないと思いながら、演技を続けようか考える。流石にもうこれくらいでいいだろうか。
ネタバレをしようとした、その時だった。
「詩乃、実は...」
「ふ、ふふふっ。」
彼が彼女の異変に気付いたのは。
「...?詩乃...?」
「ふふふっ、あはははっ!...はぁ、幻太郎。」
光がない。まさにそれは今の彼女の目のことを言うのだろう。突如狂気的に笑い出した彼女。その笑顔のままで、彼女は幻太郎の方をゆらりと見る。
「...!?し、詩乃...、貴女...。」
「余命、一ヶ月。ふふっ、許さない。私から離れるなんて、絶対に。」
そういって机の上にあるカッターを手に取る彼女。ゆらりとこちらを見て嫌なくらいの笑顔を見せる。
「貴女を刺して、私も追いかけます。」
そう言ってカッターを彼女が振り上げる。違う。違うんだ。
「嘘ですっ!!!!」
ピタリ。その部屋の空気が止まる。
締まった喉の奥から嫌な音と声が出てくる。
「嘘、ですから...。」
すると頭上から、予想の斜め上以上の言葉が聞こえた。
「ですよね。」
「...え?」
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桜月花(プロフ) - 紺さん» たくさん送ってくださって本当にありがたいです!そこまで言っていただけると私もとても励みになります!ご愛読ありがとうございました! (2019年5月9日 22時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 沢山送ってすみません!凄く素敵な作品でした!もちろん右のお星様押させて頂きました! (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 幻太郎…惚れたわ結婚しよう() (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 間違えて二個送ってますた。← (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 家でげんたろ〜とか、だいす〜とか叫んでたら親に怒られました。全く、どうしてくれるんですか←すみません、悪いのは私です。 (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月花 | 作成日時:2019年2月8日 16時