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私の知らない彼の一面 小 ページ38

彼は口を開く。
大きく息を吸って、一息で、そのリリックを口にした。

『少しでも彼女に触れてみろ。
容赦なくお前のその手吹き飛ばす
このバース!で殺すお前らカスども
に喰らわせるこの一発

人の女に容易に手ェ出す
イキった奴らにかます体罰
この瞬間に俺が蹴散らす
ここに今愛の花舞散らす!』

その瞬間だった。

彼女の目交いの霧が一気に晴れ、まるで太陽の光でも差し込んだかのように景色が明るくなったのは。


そうか、この人が、



この男がいつも私が見ている夢野幻太郎と同一人物なのか、と。


かっこいい。
美しい。


惹き込まれる。



「ひ、ヒィッ...!お、覚えてろよ!」

失神してしまった2人を、息遣い荒く慌てて運んでいくヤンキー。
そんな姿を見ていた幻太郎がゆらり、彼女の方を見やった。

そして、

「詩乃...。」

ふわり

倒れこむように詩乃に寄りかかる。
それを少し驚ききつつも受け止め、軽く背中をさする。

「ありがとう、ございました。とっても、かっこよかったですよ。」

ゆっくり、一言ずつ想いを伝える詩乃。すると幻太郎は寄りかかったまま小さく口を動かす。

「...見苦しいところをお見せしました。」
「見苦しいなんてまさか。貴方が来てくれて、安心しましたよ。」
「何も、されてませんか。」

そう言って軽く乱れた彼女の身なりを整え、再度抱き締める。

そんな彼を見て、微笑みながら彼の背中に手を回し、彼女はこう答える。


「えぇ、貴方のお陰で、何にも。」




彼が自分の恋人でよかった。






そう、心から思いながら。

ふとした彼女の愛情 七→←私の知らない彼の一面 中



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桜月花(プロフ) - 紺さん» たくさん送ってくださって本当にありがたいです!そこまで言っていただけると私もとても励みになります!ご愛読ありがとうございました! (2019年5月9日 22時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)
- 沢山送ってすみません!凄く素敵な作品でした!もちろん右のお星様押させて頂きました! (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
- 幻太郎…惚れたわ結婚しよう() (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
- 間違えて二個送ってますた。← (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)
- 家でげんたろ〜とか、だいす〜とか叫んでたら親に怒られました。全く、どうしてくれるんですか←すみません、悪いのは私です。 (2019年5月3日 3時) (レス) id: de02aba2c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜月花 | 作成日時:2019年2月8日 16時

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