これから先も彼女に嘘は通じません

これからもずっと一緒に ロ ページ18

すると胸元に、なにかがあたる感触がした。見ると彼女の手が置かれていた。

「ふふっ、本当に...結婚、するのですね。私たち。」
「…！そう、ですね。ここまで色々ありましたからねぇ…。」


二年前。

彼女と出会ってからというものの、なんだか少し自分も彼女も変わった気がする。
嘘ばかりついていた自分が少しだけ、嘘をつかなくなった。いや、つかなくなったのではなく、つく暇がなくなってしまったのだ。

目の前にいる、愛らしい彼女のせいで。

「幻太郎？」

胸元の手を動かすことなく、彼女は下を向いたままいう。

「なんですか？」
「幻太郎、


これからもずっと一緒にいてくださいね？」

小さな声で言う彼女。
みると少しだけ肩が震えている。

「もう私を…、１人には、しないでくださいね…？」

あぁそうか。小生に出会うまでたった1人で生きていた彼女だ。
おそらく、怖いんだろう。
また1人になるのが。

取り残されるのが。


「何を馬鹿なことを言っているのですか。
小生が貴女を見捨てるとでも？」

そういうと、ハッと顔を上げる彼女。
その目には涙が浮かんでいた。

「…！そう、ですよね。あはっ、私、何言ってるんだろう…。式を前にして、緊張しているのかもしれませんね。」


そういいながら自嘲するかのように笑う彼女。



そんな彼女を見て、ふと口と体が動いた。




「詩乃。」

「ん？なんです…むっ！？」



2人の影が、

白い部屋の中で重なり、

離れた。

これからもずっと一緒に ハ→←これからもずっと一緒に イ

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