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36話 〜カラ松side〜 ページ37

「ん……」

 ソファーで眠っていたらしい。
 時計をちらりと確認する。……そろそろAが帰ってくる頃だ。




 ……夢を見た。




 そこは、スポットライトが目映く輝く板の上。

 台詞も、動きも、何の演目かも、何一つ知らないのに、オレは舞台の上にいた。

 衣装もメイクも何一つなく、あるのは目が眩むほどに眩しい照明と、ただ立ち尽くしているオレだった。

 ドクンドクンと心臓が強く鼓動を打つ。汗がゆっくり首筋を撫でる。

 この異様な空間に、頭がついていけなかった。
 気持ちだけが焦り、手足が震え始める。


 すると、どこかから


『なぁ、カラ松』




 懐かしい声が、





『彼女苦しめるのそんなに楽しい?』






 オレを呼んで、





『俺の彼女も立ち位置も全部奪ってて楽しい?』




愉快そうな声に、寂しさを(にじ)ませて、






『俺のフリするのそんなに楽しい?』






 オレを嘲笑(わら)って









『なぁ、カラ松』







 オレを、見つめて、






少し、間があってから、






『………………ごめんな』



 そこで、目が覚めた。
 心臓はかなりはやく鼓動を刻み、パーカーは汗で濡れていた。

「あれ……」


 頬をなにかが伝った。
 それは止めどなく流れてきて、ぽたぽたと床に転がり落ちていった。

「なん、で、」



 何で。
 その先に続く言葉は、心の中ではじけて消えた。

 拭えど拭えど涙は頬を濡らし、パーカーにシミをつけていく。

 赤いパーカーは涙をすってより紅く紅く染まっていき、それはまるで血のように、炎のように、夕焼けのように




♪〜

固定電話の着信音。「わ」と情けない声が漏れた。


立ち上がり受話器をとる。

「もしもーし、おそ松?」
『あぁ、A?どした』

Aだった。

「ねえ、トト子ちゃんって分かるよね?」
『トト子ちゃんって……弱井トト子?』

トト子ちゃん?何でAがトト子ちゃんの事、

「そう、トト子ちゃんがねー、家来たいって、いい?」


……は?
トト子ちゃんが、家に来る?


『……どういうこと?』
「この後、トト子ちゃん連れて帰るよー、ってこと」

嘘だろ、と小さく漏らす。
トト子ちゃんはオレがおそ松のフリをしているのを知らないはずだ。ということは……


オレの脳裏を()ぎったのは、最悪の事態。








Aに……バレた?

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設定タグ:おそ松さん , カラ松 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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シバ(プロフ) - 紫乃原―シノハラ―さん» ほぉ!!!ありがとうございます!!!早速見てきます♪ (2018年1月30日 0時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - シバさん» シバさん!お待たせしました!先程公開してきましたので、是非ご覧ください!よろしくお願いします。 (2018年1月29日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます!続編はただいま執筆中で、公開できる状態ではないんです……ごめんなさい(;_;) もうすぐ公開しますのでお楽しみに! (2018年1月29日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
シバ(プロフ) - 紫乃原―シノハラ―さん» この続編、パスワードですよね…どうすれば良いのでしょうか? (2018年1月29日 20時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - 来夢*゚さん» 来夢さん、はじめまして!なんて素敵なお言葉……光栄です。本っ当に嬉しいです。ありがとうございます(T-T) これからも更新頑張りますので是非これからもよろしくお願いします! (2018年1月10日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫乃原―シノハラ― | 作成日時:2017年1月7日 8時

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