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24話 〜カラ松side〜 ページ25

「ごちそうさまでした」

 ぴったりと、二つ重なるその声に小さな幸せを感じた。

『あ"ー美味しかったぁ!! やっぱAの飯はサイコーだな』

 つまようじを口に突っ込みながらにへら、と笑う。

「ふふ、ありがと。 味噌汁、味濃くなかった?」

『ううん、全然? 旨かったよ、ありがと』

 カチャカチャと皿を洗いながらこちらを振り向く彼女に、優しく微笑みかける。

 その顔を見て安心したのか、満足げな顔をしてまたシンクに向かった。


 …それにしても。

 皿を洗う彼女の背中をぼんやり見つめて考える。


 …朝、彼女はあそこまで俺を疑っていたのに、突然どうしたんだ?

 急に考えが変わったのだとしたら、それはあまりに不自然だ。


 ………出勤中に、何かあったのか?

 まさか。気づかれるような何かが?


 背筋が凍った気がした。

 待て待て待て。落ち着け俺。


 どこでだ?いつだ?

 気がつかれるような事、したか?


 心臓はばくんばくんと跳ね、俺の胸を打つ。

 嘘だろ、こんなにも早く?


 嫌な汗が首筋を伝い、パーカーに落ちた。


「ねぇ、おそ松」



 彼女が、こちらを振り向いた。

『っ、あ? どうした?』

 ぎこちない笑みを浮かべなんとか答える。

 彼女は、不安そうにこちらを見ている。


 …真っ直ぐに、俺を見据えたその黒い瞳は、怯えているかのように微かに揺れていた。


「あのさ」

『……ん?』


 …彼女は言いにくそうに、言い淀み視線を逸らした。

 …嗚呼、ここまでか?


「…うん、あのね? これ」

 床に逸らしていた視線を俺の方に戻してから、彼女は細長い紙切れ

 を二枚、こちらに差し出した。


『なにこれ、…『遊園地無料招待券』?』

 目の前に現れたそれはあまりにも見当外れで、驚いた。


「うん、そうなの。 会社の人が株主優待で貰ったらしいんだけど、俺はいかないから、Aにやるよ、って」


『へぇ〜…そうなんだ〜』

 自分でも笑ってしまうほどに間の抜けた声が出た。


「だからさ? 今週末、一緒に遊園地行こうよ!」

 さも幸せそうに、満面に笑みを湛え彼女は言った。

 その姿は、思わず抱き締めてしまいそうなほど可愛らしくて、

『当たり前じゃん、いいよ!俺も行きたい!!』


 …なんて、二つ返事をしてしまった。

 後から考えてみれば、あそこで少し悩むべきだったのだろう。

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設定タグ:おそ松さん , カラ松 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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シバ(プロフ) - 紫乃原―シノハラ―さん» ほぉ!!!ありがとうございます!!!早速見てきます♪ (2018年1月30日 0時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - シバさん» シバさん!お待たせしました!先程公開してきましたので、是非ご覧ください!よろしくお願いします。 (2018年1月29日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます!続編はただいま執筆中で、公開できる状態ではないんです……ごめんなさい(;_;) もうすぐ公開しますのでお楽しみに! (2018年1月29日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
シバ(プロフ) - 紫乃原―シノハラ―さん» この続編、パスワードですよね…どうすれば良いのでしょうか? (2018年1月29日 20時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―シノハラ―(プロフ) - 来夢*゚さん» 来夢さん、はじめまして!なんて素敵なお言葉……光栄です。本っ当に嬉しいです。ありがとうございます(T-T) これからも更新頑張りますので是非これからもよろしくお願いします! (2018年1月10日 21時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫乃原―シノハラ― | 作成日時:2017年1月7日 8時

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