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8話, ページ10

……side,You.

「おはよー」

学校にも慣れ、私はいろんな人と話せるようになってきていた。

「オイ川崎ィ!!」

「げっ」

私は一目散に教室を飛び出した。

蓮巳は厳しい。ほんとに厳しい。

「待て!!!」

「そんな鬼の形相のやつに待てって言われて待つバカいないよ!?」

しかし体力のない私はあっという間に捕まってしまう。

「だから!制服を!着ろ!!」

「やだー。かわいーからいいじゃん」

そう言って私がスカートの裾をつまんで見せれば、蓮巳はぐっと言葉に詰まった。

「あはー、やっぱさすがの蓮巳もかわいいって思う?」

「調子に乗るな貴様!!」

私を怒鳴る頬は少しばかり赤く見える。

「まーいいや、蓮巳の珍しい表情も見られたし?着替えてくるねー」

私は手をひらひらと振って、手芸部の部室へと足を向けた。

「……また叱られたか」

「まーね。でも私は懲りないよ!」

そう言えば、しゅーくんには呆れられてしまった。

「だってしゅーくんがかわいいお洋服作るから…」

あのライブ以降に見せてもらったお洋服はどれもかわいらしくて、既製品のような出来の物ばかりだった。

「着替えたー。しゅーくん髪やって」

「今日はどうするんだね」

「んー、おまかせで!」

しゅーくんは浅くため息をついた後、ふたつに結んでくれた。

「ありがと!あ、やばい一限遅れる」

私はありがとねー!と手を振り、教室へと駆け出した。


「ふぃー、セーフセーフ」

「今日はずいぶんとギリギリだねぇ」

「だって朝から蓮巳に追いかけ回されたんだもん」

「ふーん?それは災難…てか、その髪留めいいね」

髪留め?そんなのしてただろうか。

いずくんが差し出してくれた鏡を見ると、私の髪の毛には歯車モチーフのヘアゴムがついていた。

「あ、ほんとだかわいい」

「……斎宮?」

「そうそう。さっきやってもらったんだー」

しゅーくん、アクセサリーのセンスもあるんだねぇ。さすがさすが。

私は喜びを隠すことなく、朝のホームルームに出席したのだった。

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作者名:黎亜 | 作成日時:2019年2月7日 13時

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