021 司令官の憂鬱 ページ22
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Aはロイドとセシルにスザクを迎えさせに行かせた後、溜まっている書類を処理するために執務室の椅子に腰を下ろした。
アンティーク調の執務室で物は少ない。
Aは引き出しから、手帳を取り出すと、写真を抜き取った。
それは、黒髪の女性と幼き日のA、そして新生児の三人が写ったボロボロの写真。
黒髪の女性の顔にはペンで塗りつぶされていて、顔はわからない。
未だに捨てられない写真の一枚。
捨てたくとも捨てられない、彼女を引き留めたのは家族という未練だった。
唯一、自分がこの世で大切にしている二人の人間が写る写真。
幸せだった頃の写真。幸せの証、幸せの象徴。
『(なに考えてるんだろ……今だって、幸せな筈なのに、)』
物事を落ち着いて考えるのは久しぶりだった。
軍人としての生活、学生としての生活、令嬢としての生活。
どれも多忙で、落ち着ける暇なんてなかった。
ただ、少しでも落ち着く時間があると、悲観に物思いに耽ってしまう。悪い癖だ。
『仕事しよ、』
万年筆を手に取り、書類に目を通したばかりだった。
机の上の固定電話が音を奏でる。
『はあ、』
万年筆にキャップを被らせると、受話器を持ち上げた。
『はい、特派所属副司令官、A・エーデルワイスです』
《こちらはコーネリア皇女殿下の騎士、ギールフォードです。
お久しぶりです、エーデルワイス嬢》
うわ、嫌な予感しない……。
『、これはこれは。コーネリア皇女殿下の騎士様が私になんの御用で？』
《今日、ユーフェミア皇女殿下が視察なのはご存知で？》
『はい、本人から昨日聞きました………、って、まさか』
Aはハッとした。受話器の向こう側から、爽やかだが、どこか疲れた笑い声が聞こえた。
《その様子だと、今回は貴女ではないのですね》
第三皇女ユーフェミア。
Aはユーフェミアとは親しい関係にある。
ユーフェミアが視察に行っては、Aはいつも彼女を連れ出していた。
『もしかして、いないんですか？』
《はい、要請を受けまして。姫様は貴女を疑っていましたが、》
姫様、というのはギルフォード卿の主君、第二皇女コーネリアのことだ。
私、皇女に疑われるなんて、案外図太いなあ…
『私、探します』
もう、相手はそれを望んでいるのだろう。
執務なら一夜 漬けでできる程度の量だ。
寝れない、ということに少し気が引けたAだったが、受話器を戻し、Aは執務室を出た。
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古城玲於(プロフ) - 今後ともよろしくお願いします！本当にありがとうございます (2019年7月26日 14時) (
レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
古城玲於(プロフ) - はじめまして、復活しました。コメントありがとうございます！これだけでやる気が (2019年7月26日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
翔。(プロフ) - はじめまして、拝読させていただいてます！とても自分好みのストーリで読み言ってしまいました！！続き待ってます！！！頑張ってください！ (2019年6月20日 1時) (レス) id: 7366e8991b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛朗素 | 作成日時：2019年3月12日 19時
