40 望むこと ページ41
しばらく何気ない沈黙が続いた。
逃げ出したいとは思った。でも、瀬名さんがわざわざレオさんの話をしてきたんだ。
逃げてはいけないと、本能的にわかった。
しばらくして、瀬名さんがゆっくりと口を開く。
瀬名side
「…いつも、遠くを見てるみたいなんだよね」
「え…?」
「いつも、いつも」
気づけば空を見上げてて、その目には俺たちなんて映ってなくて。
目の前にいるはずなのに、アイツは一人どこか違う世界にいて。俺たちの話なんて何も聞いてない。
ユニット結成してからだって、神出鬼没だし、話を聞いてないわりには、自分は突然変なことを語り出す。
『おれ、生きてるんだ』
『……はぁ?何言ってんの…?』
『セナがおれをKnightsに誘ってくれてなかったら、きっとおれは死んでるだろうな』
その言葉が、俺にはとても重いものに感じて。でもどこか、仲間として認めてくれたことが嬉しくて。
でもきっと、アイツの中には太陽がいて。アイツの原動力は太陽なんだってわかりきってた。
その時に、太陽の言葉を思い出した。
『永遠の月が、砕けてしまう前に』
…結局、全部お見通しってわけなのかなぁ?
流石神様だよねぇ。あーあ。嫌になる。
だからきっと、れおくんにとっても、俺たちは『Clarté』に戻るための踏み台にしか思われてない。
でも_____幸せくらいは願わせて。
「…太陽と星の光がないと、輝けないんだって。
まずアンタが、月永レオのそばにいないでどうすんの」
そう言いながら、一枚のチケットを机の上に叩きつけて、荷物を持って立ち上がる。
「えっ…これって…」
「今度、"最後"の『王さま』のライブをやる。『Trickstar』も出るはず。少しくらい、アイツらに向き合ってみれば?」
これで、俺とコイツの関係は終わり。これ以上手助けしてやるつもりも無い。
「あ、あのっ…!
『Knights』のライブ、ですよね!?」
力強く通る声に、思わず足を止めた。
「お前が言うなって言われるかもしれませんけど…貴方たちは、絶対にレオさんにとって、大切な仲間ですよ!!」
そのバッサリとした言葉が、真っ直ぐ心を貫いてくる。
「ごめんなさい!貴方たちを巻き込んで!苦しめて!私は…偽善者だ…!ただ、"私の"仲間の幸せしか望んでなかった…!」
強く強く、俺に訴えかけてくる。
「…いいんじゃない?それで。俺も、"俺の"仲間の幸せしか望んでないし」
そう言って、今度こそ足を止めずに、俺は喫茶店を去った。
185人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あずまこぐれ - 2年ほど前から愛読させて頂いている者です。この小説は、他の小説とは違う、心に響くものがあるんです。これからの更新は難しいものなのでしょうが、やっぱり見に来てしまいます。届いているかは分かりませんが、これからも度々見に来るので、更新、待ってます。 (2019年5月7日 18時) (レス) id: af7df8004e (このIDを非表示/違反報告)
遊園地依存症 - めっちゃおもしろかったです!レオぴとスバル君の二人すごい好きだったんですごい嬉しいです! (2018年1月29日 0時) (レス) id: f385502180 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - プリンさん» スバル「ありがとうっ!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!これからも応援よろしくね☆」レオ「わははっ!答えを聞く前に妄想してみろ!…な〜んてな!ユニット名は『Clarte』って書いて『クラルテ』って読むぞ☆」 (2017年12月19日 18時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!こんな素晴らしい物語を作るなんて凄いです!尊敬します!!!あの、今更なんですがスバルとレオと夢主がいたユニットはなんて読むんですか?バカですみません!!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e5258e5310 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - ルルさん» スバル「泣かないで〜!俺は笑顔が好きだからさっ!」レオ「わはは!ロス(作者)、このコメントみて喜んでたぞ〜!これからも応援よろしくな!」 (2017年11月18日 14時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ