37 ちょっとだけ ページ38
____翌朝。
「…どうしよう…」
かれこれスマホを握りしめて早1時間。自分でも馬鹿らしいと思ってきた。毛布にくるまりながら、同時に頭と目をぐるぐると回す。LIME送るのってこんなに緊張したっけ…?
「…んん……」
いや、マイナスに考えてはダメだ。連絡先を知っていただけでもラッキーだと思え!
そう自分を鼓舞し、勢いに任せて”瀬名泉”と書かれた項目をタップし、素早く文章を入力してようやくメッセージを送った。
「っ…つ、疲れた…?」
瀬名side
朝、1限目終わりの休み時間。普段見慣れない名前がスマホのヘッダーに現れて一瞬目を疑う。思わず何度も確認してLIMEを開く。
間違えない、華陽Aだ。
《先日はご迷惑をおかけしてすみません。ウィッグと衣装、お借りしたままになってしまったので、なるべく早くお返ししたいです。今日の放課後、空いてますか?》
あ〜…そうえばそうだったな。
Aに持ち去られたウィッグと衣装の存在を今このタイミングで思い出す。逆になぜ忘れていたのかと聞かれれば、今日の早朝の出来事が原因であろう。
「…思い出すだけで腹立つ〜」
時は早朝に遡る。
「ちょっと王様、どういうつもり!?」
「んぁ?おぉ〜セナ!どした?」
俺は目の前の王さまに先日の発言について問いただそうとした。しかし、当の本人は何事も無かったかのような声を出す。
「昨日のあの言葉、本当なの?」
今思えば、俺のあの時の表情はかなり真剣だったように思える。だって、王さまが間抜けなキョトン顔で俺のことを見てたから。でも、その表情はすぐに打ち消されて彼は嫌という程真っ直ぐな瞳を俺に向けてきた。
「ほんとだよ」
「…!」
俺は拳を強く握りしめた。
あの顔は、王さまの顔じゃない…『Clarté』の月の、『月永レオ』の顔だ。
あぁ…結局、太陽神の代わりなんて、いなかった。
「…勝手にすればっ…!」
俺は王さまに背を向けて歩き出した。
「っ…セナ!」
王さまに名前を呼ばれても、振り返りはしなかった。これ以上、あの瞳を見たくなかったから。しかし、王さまはお構い無しにそのまま俺の背中に語り続けた。
「おれは、やっぱり『Clarté』にいないと輝けない!月は、太陽と星の光がないと輝けないんだ!!」
顔を見なくても必死さが伝わってくる。
知ってる、知ってるよ。
「そして、一緒に輝きたいんだ!!」
ただ、ちょっと悔しいだけ。
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あずまこぐれ - 2年ほど前から愛読させて頂いている者です。この小説は、他の小説とは違う、心に響くものがあるんです。これからの更新は難しいものなのでしょうが、やっぱり見に来てしまいます。届いているかは分かりませんが、これからも度々見に来るので、更新、待ってます。 (2019年5月7日 18時) (レス) id: af7df8004e (このIDを非表示/違反報告)
遊園地依存症 - めっちゃおもしろかったです!レオぴとスバル君の二人すごい好きだったんですごい嬉しいです! (2018年1月29日 0時) (レス) id: f385502180 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - プリンさん» スバル「ありがとうっ!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!これからも応援よろしくね☆」レオ「わははっ!答えを聞く前に妄想してみろ!…な〜んてな!ユニット名は『Clarte』って書いて『クラルテ』って読むぞ☆」 (2017年12月19日 18時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!こんな素晴らしい物語を作るなんて凄いです!尊敬します!!!あの、今更なんですがスバルとレオと夢主がいたユニットはなんて読むんですか?バカですみません!!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e5258e5310 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - ルルさん» スバル「泣かないで〜!俺は笑顔が好きだからさっ!」レオ「わはは!ロス(作者)、このコメントみて喜んでたぞ〜!これからも応援よろしくな!」 (2017年11月18日 14時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
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