31 王さま ページ32
瀬名side
「『knights』の皆さん、本番10分前でーす!」
スタッフのそんな声がかかり、メンバー全員に多少の緊張が走る。しかし、1人だけ平然としている奴がいた。
引っ張って連れてきた、奴だ。
「……」
プリントをじっと見つめている。ウィッグとカラコンをつけているせいもあったが、その横顔が王さまと似ていて、集中すると周りが見えなくなるところもよく似ていた。ま、あいつほどではないけど。
そう考えていると、そいつはブツブツと何かを言い始めた。
「騎士…王さま…」
バッと顔を上げて俺に向き直った。俺はあいつと同じ色の瞳にまっすぐ見つめられる。
「…なに?」
沈黙に耐えられなくなり、やや汗を滲ませて質問する。すると、そいつは笑った。
あいつみたいに。
「わははっ☆セナは相変わらず怖い顔をしてるなぁ!そんなんじゃ将来ハゲるぞ☆」
「ハゲっ…!?あんたねぇ…!」
そこまで言って、ハッと我に返った。あまりに王さまっぽかったので、思わずいつもの調子で返事をしてしまいそうになった。目の前にいるのは王さまじゃない。華陽Aのはずなのに、目つきも、雰囲気も、あいつそのものを感じさせる。
俺を含め全員が言葉を失う。しかし奴は俺の反応を見て、愉快そうに喋り続ける。
「ふむふむ、王さまの月永レオはこんな感じなんだなっ!あぁっ…!面白くなってきた…!ライブはまだ始まらないのかっ?」
「leader…のようです、本当に…」
そうだ。誰もがそこに月永レオの存在を感じていた。華陽Aではなく、俺たちの王さま、月永レオを。
その時、外から女性たちの声が聞こえて来る。俺たちのライブを見にきた人たちの声だろう。華陽Aもその声に気づいて、キラッと瞳を光らせる。
「おっ?観客も待ちくたびれてるみたいだなぁ?……お前たち、準備はできてるよな?」
そう聞かれ、俺たちは自然に返事をしてしまう。
「当たり前でしょ?」
「当然です」
「アタシはいつでもいいわよ〜♪」
「ふあ…ぁ?出番…?」
「ていうか、あんたが1番準備すんの遅かったんだからね〜」
「わはははっ!確かにな!」
俺の皮肉に笑いながら対応すると、ふっとそいつの表情が引き締まる。
「それじゃ行こうか、"俺"の頼もしい『
その時笑ったお前の顔は、憎たらしいくらい勇ましくて、凛々しくて、俺たちにとっては、眩しいくらいの輝きだった。
「Showtime始まりだ☆」
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あずまこぐれ - 2年ほど前から愛読させて頂いている者です。この小説は、他の小説とは違う、心に響くものがあるんです。これからの更新は難しいものなのでしょうが、やっぱり見に来てしまいます。届いているかは分かりませんが、これからも度々見に来るので、更新、待ってます。 (2019年5月7日 18時) (レス) id: af7df8004e (このIDを非表示/違反報告)
遊園地依存症 - めっちゃおもしろかったです!レオぴとスバル君の二人すごい好きだったんですごい嬉しいです! (2018年1月29日 0時) (レス) id: f385502180 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - プリンさん» スバル「ありがとうっ!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!これからも応援よろしくね☆」レオ「わははっ!答えを聞く前に妄想してみろ!…な〜んてな!ユニット名は『Clarte』って書いて『クラルテ』って読むぞ☆」 (2017年12月19日 18時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!こんな素晴らしい物語を作るなんて凄いです!尊敬します!!!あの、今更なんですがスバルとレオと夢主がいたユニットはなんて読むんですか?バカですみません!!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e5258e5310 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - ルルさん» スバル「泣かないで〜!俺は笑顔が好きだからさっ!」レオ「わはは!ロス(作者)、このコメントみて喜んでたぞ〜!これからも応援よろしくな!」 (2017年11月18日 14時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
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