27 以心伝心 ページ28
スバルside
「…帰ろう」
「えっ」
レオさんはスクッと立ち上がって、くしゃくしゃになった肉まんが入っていた紙袋を公園のゴミ箱に捨てて自身のポケットに手を突っ込んだ。
突然言われたから驚いただけで、帰ろう、と言う意見に異論はなかったので、うん、と言って俺もベンチから立ち上がった。
「おっ」
「?」
ゆっくりとしたペースで帰り道を歩いていたが、レオさんが唐突に足を止めて声を上げた。
「どうしたの?」
「ん!」
俺がそう問うと、レオさんは突っ込んでた手を取り出し、空を指差した。何かと思ってレオさんに続いて空を見あげると、思わず声を漏らしてしまった。
「わぁ…」
「久しぶりだな!我が相棒!」
俺たちが見たのは、空の上で煌々と輝きを放つ美しい月だった。
「やっぱりおれと月は繋がってんだな!」
レオさんの突飛な質問に、は?と声を出す。
「おれが輝きたいって思えば、あの月だってそう思って、こうやって輝きだす。以心伝心って奴だろ!」
「ふぅん…?」
「星が出てこないのはスバルが悪いな!お前がいつまでもドヨ〜ンとしてるから星も出てこないんだ!」
唐突に悪口を言われた気がしてかちんと来る。
「何それ!俺だって輝きたいって思ってるもん!でも…」
途中まで言って口をつぐむ。
「まー落ち着け。志の問題だ」
「志…?」
レオさんはポンポンと俺の頭を叩く。俺はレオさんの言ったことを復唱して顔をあげる。
「そうだ!お前今何も目標がないだろ?」
「え、まぁ…【ShiningDDD】も出るなって言われちゃったしな…」
「だからだ!」
俺をビッと指差して大声で叫ぶ。
「うん、おれはもう決めた!」
「?何を」
レオさんは俺に差していた指を引っ込めて、今度は自分を親指で差す。
「おれは【ShiningDDD】に出ない!」
レオさんの爆弾発言に、俺の思考回路は一旦停止した。
「はぁっ…?」
やっと出た声も、絞り出して出したもので弱々しかった。
「『Knights』としては出ない!『Clarté』として出る!」
月の光が、スポットライトのようにレオさんを照らす。まるで彼を後押しするように光っている。
そんなレオさんが決意表明をしている間に、事件は起こっていた。俺たちは、レオさんが珍しく持っていたスマホのバイブレーションに、全く気づかなかったのだ。
「あいつどこ行ってんのよ!」
「泉ちゃ〜ん!携帯も全然繋がらないわ〜!」
「Why!?leaderは何をしているのですか!!」
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あずまこぐれ - 2年ほど前から愛読させて頂いている者です。この小説は、他の小説とは違う、心に響くものがあるんです。これからの更新は難しいものなのでしょうが、やっぱり見に来てしまいます。届いているかは分かりませんが、これからも度々見に来るので、更新、待ってます。 (2019年5月7日 18時) (レス) id: af7df8004e (このIDを非表示/違反報告)
遊園地依存症 - めっちゃおもしろかったです!レオぴとスバル君の二人すごい好きだったんですごい嬉しいです! (2018年1月29日 0時) (レス) id: f385502180 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - プリンさん» スバル「ありがとうっ!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!これからも応援よろしくね☆」レオ「わははっ!答えを聞く前に妄想してみろ!…な〜んてな!ユニット名は『Clarte』って書いて『クラルテ』って読むぞ☆」 (2017年12月19日 18時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!こんな素晴らしい物語を作るなんて凄いです!尊敬します!!!あの、今更なんですがスバルとレオと夢主がいたユニットはなんて読むんですか?バカですみません!!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e5258e5310 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - ルルさん» スバル「泣かないで〜!俺は笑顔が好きだからさっ!」レオ「わはは!ロス(作者)、このコメントみて喜んでたぞ〜!これからも応援よろしくな!」 (2017年11月18日 14時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
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