22 生贄 ページ23
私は動けなくなったよ。スバルとレオさんには、彼の言葉は聞こえなかったみたいだけど、その場に座り込んだり、舞台袖のカーテンを握りしめたりしてた。
私はただただ呆然として、彼のユニットの演目が終わるまで、何も記憶がなかった。
外に出ると、空はオレンジに染まっていた。
制服に着替えて、教室にいるのもなんだか嫌だったから、ガーデンテラスにいた。
そこに現れた一つの影。
「相席いいかい?」
この声、やっぱり彼か。
「……はい」
私が一言そう言うと、彼は椅子を引いて座る。そのときの彼は妙に笑顔で、いつもよりいい笑顔に見えた。そりゃそうか、ムカつく敵をぶっ潰せたんだもんね。
私が決して彼と目を合わせないようにしていると、彼が喋り出した。
「今日のライブはどうだった?楽しかったかい?」
「……なんですか?嫌味ですか?」
私は気味悪く笑ってる彼の顔を見て、私も気味の悪い笑みを浮かべながら言う。
「ふふ。そうだね、嫌味になるかな?」
ずっと笑ってる。私はもう、そろそろ限界で、席を立つ。
「では、私はこれで。天祥院英智さん」
そう言って、ガーデンテラスを去ろうとした。
「輝きは、失われたね?」
その言葉に、思わず足を止めてしまった。彼は言葉を続ける。
「月の神、月読命は深く絶望して、星の神、天津甕星は狂い始めてる。そして君、太陽の神、天照大御神も、邪悪な雲に隠れ始めてるね?」
彼は、ずっと閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
単純に、ゾッとした。
彼は、私の背中に向かって言葉を私に放つ。まるで、用意された台本の台詞を読んでいるかのように。
「『
君たちは僕らのための生贄、僕らのために犠牲になった」
それを聞いて、私はもう自分で自分を制御できなくなった。
勢い良く振り返って、座っている彼の左頬を、自分の右手で叩いた。
派手な音がした。一瞬、その音が学院中に響いたみたいに。
「……ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけるな!!
スバルとレオさんが、あんた達の生贄?あんた達のために犠牲になったぁ?笑わせないでよ!
私達は……スバルとレオさんは、あんたのためにアイドルになったんじゃないの。
世界中のみんなを、笑顔にするためにアイドルになったのよ!!」
私の目から、ボロボロと大粒の涙が流れてた。
目の前にいる彼の顔は、ぼやけてよく見えなかった。
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あずまこぐれ - 2年ほど前から愛読させて頂いている者です。この小説は、他の小説とは違う、心に響くものがあるんです。これからの更新は難しいものなのでしょうが、やっぱり見に来てしまいます。届いているかは分かりませんが、これからも度々見に来るので、更新、待ってます。 (2019年5月7日 18時) (レス) id: af7df8004e (このIDを非表示/違反報告)
遊園地依存症 - めっちゃおもしろかったです!レオぴとスバル君の二人すごい好きだったんですごい嬉しいです! (2018年1月29日 0時) (レス) id: f385502180 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - プリンさん» スバル「ありがとうっ!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!これからも応援よろしくね☆」レオ「わははっ!答えを聞く前に妄想してみろ!…な〜んてな!ユニット名は『Clarte』って書いて『クラルテ』って読むぞ☆」 (2017年12月19日 18時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです!こんな素晴らしい物語を作るなんて凄いです!尊敬します!!!あの、今更なんですがスバルとレオと夢主がいたユニットはなんて読むんですか?バカですみません!!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e5258e5310 (このIDを非表示/違反報告)
辻本ロサンゼルス(プロフ) - ルルさん» スバル「泣かないで〜!俺は笑顔が好きだからさっ!」レオ「わはは!ロス(作者)、このコメントみて喜んでたぞ〜!これからも応援よろしくな!」 (2017年11月18日 14時) (レス) id: 569f586e7a (このIDを非表示/違反報告)
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