【月永レオ】輝く明日へ。【明星スバル】

21 ふざけるな ページ22

天祥院英智のことは、小さい頃から知っていた。
社交パーティとかなんとかで、1度は顔を見たことがあった。でも、その時から私は、彼のことが嫌いだった。


いつもなに考えてるのかわからなくて、ずっと笑ってた。気味が悪い程に。何度か笑顔を向けられたことがあったけど、決していいものではなかった。

だから、学校が一緒だなんてゴメンだった。私はアイドルになりたかったけど、彼と一緒の学校に行ってアイドルになるくらいなら普通の学校に通おうとした。


でも、結局夢は捨てられなかった。だから、夢ノ咲学院の制服に腕を通した。


そこで、掛け替えのない仲間に会えた。スバルとレオさん。2人に会ったときは、夢ノ咲学院に来て良かった、って思った。

時々、天祥院英智のライブを見たけど、なんだかとても楽しめなかった。まるでハリボテのような笑顔、機械のような動き、心がない歌声。


どうして、彼はああなってしまったのだろう。


どうして、彼は笑っているのだろう。


どうして、彼は踊っているのだろう。


どうして、彼は歌っているのだろう。



「あなたは、なんのためにアイドルになったの？」



一度聞いたことがある。興味があったから。彼は、こう答えた。



「みんなを笑顔にするためだよ」






それは本当ですか？



数日後、彼は倒れて入院することになったらしい。



私たち3人は、その頃から夢ノ咲学院のトップに立っていた。


ただ毎日を幸せに、楽しく過ごしていた。

でも、そんな日々が続くわけないよね。



「勝負をしよう」



突如、彼から放たれた氷のような声と言葉。

それを聞いた瞬間、今までのことをやったのは彼か、と頭の中で納得していた。どうしてか？そんなの、決まってるよ。


彼の瞳が真っ暗闇だったからだよ。

前より一層。



「君たちの輝き、消してあげるよ」



勝負は受けた。でも、大失敗だった。あんなライブをしたのは初めてだった。誰も楽しくないライブ。


私たちが演目を終えて、舞台袖に引っ込むとき、彼とすれ違った。そのとき、彼は確かに言ったんだ。



「ほらね。僕の言う通りだ」



そう言って、舞台へ向かった。



その言葉の意味はなに？輝きが、『Clarté』が消えるってこと？


星が


月が


太陽が


輝けなくなるってこと？




ふざけるな。

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