さよならにブライダルベールを添えて。

13話 ページ15

萩原side



なにやら思い耽ってこちらの声が聞こえてない諸伏と、
鬼塚教官に呼ばれてその場にいなかった降谷、伊達を
置いて俺達は食堂に来たのだけど、



松田「おいおい、この人混みじゃあ座れなくねーか？」



『たしかに…あ、あの子の座ってるテーブルの席が
空いてるから一緒に座らせてもらおうぜ。』



周りを見渡せば人混みで探すの大変だったけど
あの子の周りの席がちょうど空いていた。



『ねぇ、君、ここ座っていい？』



パソコンを弄っていた彼女は、
手元に俺の影がおちたことに気づいて顔を上げた。

茶髪だけど手入れが行き届いた綺麗な髪。
色白で、可愛い子だなって思ったのが第一印象。

でも俺の声が聞こえてなかったのか分からないけど、
あまり反応がなくて、もう一度言おうと思って口を
開こうとするよりも早く、松田が声を上げた。



松田「おい、聞いてんのか？」



…って、初対面でそれは流石にないでしょ！？
普通に考えて怯えるから！



『こら、陣平ちゃん。彼女、怖がっちゃうでしょ』



貴方「あの」



『「ん？？」』



あ、ハモった。てか聞こえてたんだね。

反応してくれた彼女の方を見れば、
机においてあったパソコンは閉じられていて。



貴方「もう終わりなんで、いいですよ」



そう言って、彼女は立ち上がりパソコンと持って
俺等に軽く会釈するとそのまま食堂の人混みに
混じって見えなくなった。



『行っちゃったね…』



松田「いいだろ、別に」



二人で並んで昼食を頼み、出てきたのを持って
私物を置いておいた席に戻る。



『あの子名前何て言うんだろー？』



松田「知るか」



ご飯食べながらさっきの彼女を思い出してそう呟くけど
本当に興味なさそーだね、じんぺーちゃんは。



？「お前等、本当仲いいなー！」



聞き慣れた声と共に肩にくる衝撃。
振り返れば、我らが班長の伊達がいた。



伊達「ここ、座っていいか？」



『勿論。』



？「俺達もいい？」



そんな伊達の後ろから顔を出したのは、
つり目で気の抜けそうな微笑みを向ける諸伏景光と、
その後ろから出てきた童顔で成績優秀者の降谷零。



松田「諸伏…とお前かよ、降谷」



降谷「僕で悪いか？」



松田「あ"？」



この二人は馬が合わないというわけじゃ
ないんだろうけど…しょっちゅう喧嘩してる。




諸伏「まあまあ」



『仲良く食おうぜ、な？』



それを仲裁するのが俺達残り三人で。
いわゆるこれがいつもの日常。

14話→←12話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す