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『ほんと、みんな元に戻ってよかった』
グ「だな、これで一安心だ」
グレイと顔を見合わせて笑い合う。
どうやら星霊たちは今回の出来事を全く覚えていないようだけど……それはそれで良いかとも思う。
あんなことになっていたなんて知ったら、優しい星霊たちは罪悪感を抱くだろう。
そんなこと……必要ないから。
ただ笑っていてくれれば、それでいい。
「古き…友よ」
重厚感のある低い声が響く。
ふわりと風に靡くマント、見上げなければ顔が見えないほどの巨体。
私たちのよく知る星霊王が、そこにはいた。
ル「星霊王!もしかして、アンタも何も……」
ナ「おお!無事だったんだな、ヒゲ!」
「悪しき……そして、黒き夢の記憶が…その心持ちのみが今しがた我を駆け抜けた……」
ハ「やっぱり覚えてないんだ」
「しかし、古き友……遠方より来たりて我が黒き夢去り、一陣の懐かしき白き風、我が内ナル世界を吹き抜ける。理由は定かならねど、何故か言の葉が浮かび上がる。……世話になった、と」
よく覚えてないけど、ありがとうってことね。
相変わらず難しい物言いをするんだから。
でもそのいつも通りが戻って来たって……やっぱり安心する。
ヒス「星霊の王よ!」
意を決したように拳を握り前に踏み出したヒスイ姫が、星霊王の前へと立つ。
星霊王の視線が、ゆっくりとヒスイ姫に向けられた。
ヒス「私は、ヒスイ・E・フィオーレと申します。
フィオーレ王国の王女として…いえ、一人の星霊魔導士として、ここに深くお詫びいたします。
………全ては、全ては私のっ」
「古き友の世界を、世界の窮地を救う為に成した事。
何を悔いる必要があろう。
此度は我らの心が弱かった故に、囚われの身に成り果てたのかもしれん……」
ヒス「ですが!」
「全ては、星の導きのままに」
そう言って、星霊王は笑う。
……これできっと、ヒスイ姫はようやく自分を許すことができるだろう。
「さぁ、直ちに発つが良い。古き友よ」
そして私たちは自分たちの世界へと帰る。
マグノリアに帰ってみると、あちこちで起きていた異常気象はもうすっかり収まっていた。
それに…星霊界が修復に向かう影響で、私たちは少しの時間のずれもなく帰ってくることができた。
そしてまた、いつもの日常が帰ってきた。
グ「ユリカ、出発すんぞ」
『あ、すぐ行く!』
もしまた、今回のような事が起こって強大な敵と戦うことになっても……きっと大丈夫。
だって、私たちの隣にはいつだって仲間がいるのだから。
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マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月28日 21時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年8月11日 19時