. ページ38
聞こえる咆哮は、どんどん大きくなっていく。
今にも崩れそうなこのアストラル・スピリタスから逃げたくても、ここからの脱出の仕方が分からない。
……飛び降りる?
エクシードたちや魔法で飛べる人はともかく、こんな高さから飛び降りたら大怪我必須でしょうね。
ル「来る時は確か…」
ヒス「鍵をかざして、魔力を……」
また、大きな咆哮が轟く。
誰もが一様に耳を塞いで顔を顰めた。
ル「これってもしかして、星霊王の…叫び!?」
ユキ「健在のようですね…いえ、むしろさらに激しく…」
ヒス「リベラム・ウェールスの阻止が……」
アル「間に合わなかったというのか……!」
ウェ「そんな…」
「その通りでございます」
その時、ほうと光が収束して時計の姿をした星霊が私たちの前に姿を現す。
ルーシィの契約している星霊、時計座のホロロギウム。
「ルーシィ様……」
ル「ホロロギウム!」
「このままでは星霊界が消えてしまいます……どうか」
ボロボロのホロロギウムを見れば、星霊界がさらに危険な状態になってしまった事は嫌でも分かった。
すると、ホロロギウムの扉部分が開き…そこから見覚えのある星霊界の服が出てきた。
確か、この服を着れば星霊界でも活動できるんだったかしら。
ル「助ける、必ず助けに行く!」
ユキ「私も行きます」
ヒス「私も」
アル「お待ちください、星霊界はこちらの世界と時の流れが違うはず」
ヒス「承知しています」
アル「そのような世界に、姫を行かせるわけにはいきません!戻れたとしても何年先になっているか……」
ヒス「覚悟はできています」
アルカディオスの言い分ももっともだ。
私たちが前に星霊界に行った時は…こちらの世界では3ヶ月が経っていた。
その時は私たちも驚いたし、戸惑った。
でも……隣にはいつだって仲間がいるから。
ナ「仲間が一緒だ、何とかなる。気にすんな」
そして、再び咆哮は響き渡る。
アル「あの声が……」
ヒス「聞こえているから行くのです」
アル「しかし……!」
ヒス「あの咆哮が聞こえている限り…私の償いは終わらないのです」
ここにいる誰も、ヒスイ姫のした事を罪だとは思っていないだろう。
過去のことだと、気にしない人の方が多いはず。
それでもヒスイ姫がまだ償いたいと言うのなら……それは、自分が納得いくまでやるべきだと思う。
自分で自分を許せた時、初めて罪は償うことが出来るのだから。
109人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリイ - ユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年7月28日 21時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年8月11日 19時