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story3 ページ4

____ フィオーレ王国、王都クロッカス。


私たちは王様にお呼ばれして、大魔闘演武ぶりに王都を訪れていた。
そして王都に着くなり城へと向い、堅苦しい雰囲気もなくむしろ緩々の雰囲気で王様と謁見した。





「竜の墓、大魔闘演武の際に見た者もいると思うが、闘技場の地下に古の竜骨が眠る地がある。

その昔、黒竜アクノロギアと戦い…敗れていったドラゴン達の終焉の地。
ワシの祖先たちが幾度も調査を行い…やがて鎮魂の為、闘技場がつくられた。

100年ほど前、その竜の墓でひとふりの杖が見つかった」


「杖?」


「おじいちゃんのドラゴンが使ってたのかなぁ」


「いいや、人間の物だろう」





人間の…使っていた、杖?
そんなものがどうして竜の墓に……

争いに巻き込まれた人間の物、と考えるのが妥当かしら。





「その杖はドラゴンたちの怒りと悲しみを吸収し、蓄積した力で本来の形が歪むほどのものだった。

その杖の名は"竜の涙(ドラゴンクライ)"。
国をも滅ぼすほどの力を持つ杖じゃ」





ドラゴンたちの怒りと悲しみ……
あの時竜の墓でジルコニスの話を聞く限り、それはきっと相当のものだったはず。

それが蓄積されている杖なんて………
危険、としか言い表せないわね。





「数日前、その杖がフィオーレ王国元国務次官"ザッシュ・ケイン"に奪われた。

ザッシュには黒魔術信仰があってな、密かに王家を乗っ取ろうとしたが失敗。
軍に拘束される前に部下の助けで国外に逃亡した」


「しかし、ステラ王国への亡命が認められると、
ステラへの手土産に……

その、部下を斬殺したのです」


「仲間を…殺したのか?」





私たちは思わず目を見開く。
手を…貸してくれた大切な仲間を自分の都合で殺すなんて……とんだ糞野郎ね。





「その強引な手腕と情報力でステラの国務大臣にまでのぼりつめた」


「とんでもない男ね」


「そんな危険な男の元に危険な杖が渡ってしまった。
悪用される前に取り戻して欲しい」


「……必ず」





ステラ王国…確かイシュガルの南東にある断崖絶壁に囲まれてて、外界から完全に孤立した島だったかしら。

危険な男に危険な杖。
本当に何が起きるかわからない組み合わせね。
………出来るなら、何も起こらないといいのだけど。

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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年7月30日 20時

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