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残った敵は、ブレインとずっと眠ったままの男。今なら逃げる事も可能かもしれない。唯、情けない事に負傷している上に、彼女達を守りながら逃げられるだろうか。( ── 否、無理だ )

早々に判断すれば、自己治療出来ない不便さを改めて感じつつ、鞄から包帯を引っ張り出す。手当てしている事に気付いたウェンディと、意識を取り戻したらしいハッピーがハッとして此方を見る。

「あ、あの…私が治癒魔法で手当てを…!」
「…治癒魔法は魔力を消費するでしょう。気にしなくて良い」
「あ!フェニックスは?」
「今は、ちょっと」

彼女の魔力量からするに魔力を使い切る可能性が無きにしも非ず。少女一人抱えて逃げるとなれば、益々難易度は上がる。呼べる日では有るものの、今は呼ぶべきじゃない。大丈夫だからと止血を済ませる。痛みが抜ける訳ではないが、血が流れ続けるよりはずっと良い。( 後は、滅竜魔導士の体質様々だろう )

「これじゃスピードが出ねえぜ」
「主より速い男など存在せぬわ」
「ひっ」
「棺桶!!?」

そうこうしている内にレーサーという男が戻って来る。その腕には随分と大きく重そうな荷を抱えて。鎖で厳重に閉じられたそれはハッピーの言う通り、十字型の棺桶で。

「お前達にはこの男を治してもらう」
「わ…私…そんなの絶対やりません!!」
「そーだそーだ」
「いや、お前は治す。治さねばならんのだ」

ひとつずつ、大きな音を立てて外れていく鎖。最後の鎖が外れたかと思えば、また音を立てて蓋が空いて行く。



「!? ── ジェラール…」

その中に居たのは、忘れもしない…楽園の塔の一件で死んだと思っていたはずのジェラールで。( あの状況で、生きて……? )

「この男はジェラール。かつて評議院に潜入していた。つまりニルヴァーナの場所を知る者」
「ジェラールって…え? え!?」
「ジェラール…」
「知り合いなの!?」
「エーテルナノを大量に浴びて、このような姿になってしまったのだ。元に戻せるのはうぬらだけだ。恩人…なのだろう?」

( 違う、)

「ジェラールって、あのジェラール…?」
「ハッピー、知ってるの?」
「知ってるも何も、こいつはエルザを殺そうとしたし、評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ」
「そうみたいだね…」
「生きてたのか、コイツ〜!!」
「この男はかつて亡霊に取り憑かれた亡霊……然し、うぬにとっては恩人だ」
「ダメだよ!!絶対、こんな奴復活させちゃ駄目だ!!」

違う、 ── そう叫べたら、どんなに良かっただろう。




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ゆきっき(プロフ) - いつかヴェンディが真実を知る日をずっと楽しみに待ってます! (2022年8月4日 0時) (レス) @page46 id: e77387d96a (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - 続き待ってます (2021年6月11日 16時) (レス) id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しく思います。また近々続きの更新して下さると嬉しく思います。更新を楽しみに待ってます。 (2021年3月31日 6時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しいです。更新を楽しみに待ってます。 (2021年1月21日 21時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。返信待ってます。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作成日時:2019年11月30日 19時

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