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( 3 / 5 ) 第三者視点 ページ43

「……行かなきゃ、」

一方。ルーシィに言葉を残し、外套を羽織りながらテントを出たAは、後回しにする訳には行かないと名の通り猫の形をしたテント型のギルドの前へと立っていた。そしてひとつ深呼吸をすると、その門を潜った。

「お、お主………!」

化猫の宿のギルド内に居たマスター・ローバウルは静かに入って来た人物に瞠目した。そして震える声で、その人物の名を呼ぶ。

「 ── 生きておった(・・・・・・)んじゃな……A…!」
「はい。長らく連絡もせず、申し訳有りません」

その言葉にAは視線を合わせるように片膝を着くと、静かに頷いた。その動作に中へ入る際に元に戻した髪色(・・・・・・・)藍色(・・)の髪が顔に影を作った。

「いや、良いんじゃ…!生きて居ただけで……!」

熱くなった目頭を抑えながらローバウルはゆっくりと首を横に振った。その仕草にAは申し訳無さで胸が締め付けられて、顔を伏せた。

「あの日、何が遭った?」

助けに駆け付けた時には既に姿が無かったと続けるローバウルに顔を伏せたまま、Aは当時の事を思い出した。

あの日 ── それはAにとって地獄の日々の始まりであり、その妹にとっても唯一の肉親と離れ離れになるという最悪の日だった。唯、いつもの様に妹と共に集落から一番近い森で片や草花遊びを、片やそれを見守りつつ魔法の特訓をしていただけだった。

然し、いつもと違ったのは…その森に良からぬことを企てる連中が居た事だった。当時、私利私欲の為にエルザを始めとする楽園の塔のメンバーのように人が拐われる事や魔力の高い子供を騙し討ちで奪うような事は、悲しい事に珍しくは無かった。── 彼女もまたそんな私利私欲の為に拐われた被害者だった。

「あの時の私は今よりももっと未熟者で…人攫い数人に太刀打ち出来ず、気が付いた時には知らない場所に。数年はそこに囚われたまま、逃げ出した後に偶然辿り着いたのが妖精の尻尾でした。見掛けを偽るのも、連絡もせず、戻りもしなかったのは私が未だに決着を付けられていない所為です」

ご心配をお掛けしました。詳細は口にはしない。それはローバウルの為であり、当時のことを口にしたくない己の為でもあった。

計り知れない事情が有るのだろうと察した彼も深くは追求はせず…また、このギルド並びに己の正体にも気付く程に昔から聡い子で有る事を知っているが故に、きっとその決着とやらを着けるまではあの少女に姉として名乗る事も、笑う事をしないのだろうと僅かに目を伏せた。




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ゆきっき(プロフ) - いつかヴェンディが真実を知る日をずっと楽しみに待ってます! (2022年8月4日 0時) (レス) @page46 id: e77387d96a (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - 続き待ってます (2021年6月11日 16時) (レス) id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しく思います。また近々続きの更新して下さると嬉しく思います。更新を楽しみに待ってます。 (2021年3月31日 6時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しいです。更新を楽しみに待ってます。 (2021年1月21日 21時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。返信待ってます。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作成日時:2019年11月30日 19時

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