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「破門になったんだってね」
「! A」

妖精の魔導士達によるパレードが行われる中、観覧に回った私は人混みの中でも目立つ金髪長身の男を見つけて、その背を追う。

名前を呼ばず、彼 ── ラクサスの処遇だけを口にすれば、嫌でも自分の事だと分かったのだろう。驚いたように振り返ったかと思えば、態々嫌味言う為に来たのかとその顔を僅かに歪ませた。

「一言くらい、声掛けておこうって思って。……気を付けて」

そんな訳無いでしょうと軽くため息をついては否定して。続けた言葉には、それだけだからと締め括る。

「A」
「? ……!」
「…色々と悪かったな。それと…オレが言えた義理じゃねえが、お前もあんま無理すんじゃないぞ」

今度は此方が背を見せた時、呼び止められて振り返る。そして次の瞬間には彼の腕の中に居て。かと思えば、直ぐに耳元で聞こえた声。僅かに罪悪感が滲んでいた。

本当は優しい彼なら掛けてくれそうだとは思っていたけど…今の私には耳が痛くなる言葉でも有って、頷くに留めた。

「じゃあ、元気でな」

私を解放して軽く手を挙げて去って行く彼に、私もパレードの方へと戻る。終盤になって、皆が空へと腕を伸ばす。ラクサスが考え出したという、何処に居ても見守っているという合図。それはきっと彼にも見えているだろう。

「……」

その光景を見ながら、ふと目を伏せる。ポーリュシカさんに告げた言葉に嘘偽りはなくて…だからこそ、ミストガンに何も言えなかったのも事実。 ( 我ながら面倒な人間だとは思う ) ……でも、この景色を見るとより一層思う。失わせる訳には行かない、と。

「…………もっと、強くならなきゃ」






── 収穫祭が終わって、打ち上げがあって。私はパレードに参加した訳でも無いので、大鴉の尻尾に加入してWスパイ(・・・・)として活躍してくれているガジルからの報告だけを聞いて、ギルドを後にした。

そして一週間。街もやっといつもの落ち着きを取り戻す。ラクサスが破門になった事は皆がそれなりにショックを受けたよう。その間にマスターはマスターで孫の責任を取ってその座を降りると言い出したり。それは反省=坊主という何処か懐かしい姿勢のフリードの一言で思いとどまったらしいけど。

私といえば、0組(クラスゼロ)のメンバーに協力して貰いながら修行に明け暮れた一週間で。唯、その修行内容だけでは、封じている魔力をどうこうする事は出来なくて。其処だけは課題が残る形となった。




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ムーン(プロフ) - とてもこの作品が好きです!更新頑張ってください! (2019年10月2日 23時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/F0OOQB  
作成日時:2019年6月25日 16時

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