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第19話:幻想曲 ( 1 / 3 ) ページ48

マスターの容態はポーリュシカさんのお陰で安定。然し、ファンタジアは明日へと延期となって、ギルドに残る理由も特に無く。話足りないのか、まだ居るというアクアに、遅くならないようにねと声を掛けて一人家路を歩く。

── 「随分と無茶な戦い方したんだってね。幾ら滅竜魔導士と言えど…無理してると、死ぬよ」
「……分かってます。でも、私は今の戦い方のスタイルは変えられない。本当はあの子や、アクアを守れれば充分だった。でも、彼やギルドの皆、ギルドそのもの。守りたいものが増え過ぎたから」
「……それで、己はどうなっても良いと?」
「そうは言いません、けど。…でも、未だ死ぬ訳には行きません、過去を清算するまでは本当の意味で守れると思っていないから」


真っ直ぐ帰らず、寄り道したマグノリア全体が見渡せる場所。マグノリアの街を見下ろしながら思い出したのは、ポーリュシカさんから掛けられた言葉。

自分の身体の事は自分が一番良く分かっているつもりだけど、確かに彼女の言う通りで。もしも、傍にセイレーンが居れば…幾ら温厚な彼女でも怒鳴るかもしれないと他人事のように思った。

── 「 ── いい線は行ってるが、まだまだ弱い」

「私は、…!?」

次に大聖堂でラクサスから言われた事を思い出していた時、不意に人の気配がしたかと思えば、振り返る間もないまま、後ろから抱き竦められて身を固くする。けれど…それが誰か気付けば、そっと力を抜いた。

「…怪我は無い?」

ミストガン。普段は優しく抱き締めてくれる腕に、珍しく力が籠っていて。振り返ろうとするのは諦めて、彼の名を呼びながら腹部に回された腕に自身の手を重ねる。

嗚呼と小さく返事が得られたものの、その声色はいつもと違うような。自身の顔を見て、涙を浮かべていたエルザの事を気にして居るのだろうか。

「……オレは、君を失いたくない」
「!」
「それに、あの子も…君と再会する日を夢見てる筈だ」
「……ポーリュシカさんとの話、聞いてたの、?」

彼女に聞かれた時はどう話そうかと考えていたのに……しっかりとした、けれど何処か憂いを帯びた声で紡がれた言葉に息を呑む。そしてより一層、力の籠った腕は肯定と受け取って良いのだろう。

ポーリュシカさんとの会話には、自身の気持ちの確認にも近かった。そしてあの会話には続きがあって、

── 「…清算を付けた後は?」
「……正直、どうなるのかは私にも分かりません」





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ムーン(プロフ) - とてもこの作品が好きです!更新頑張ってください! (2019年10月2日 23時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/F0OOQB  
作成日時:2019年6月25日 16時

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