FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - 02 (ページ33)

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──「魔力注入、準備完了しました。…開始！」

少女の肢体に繋がれた器具。それを伝い、注がれる魔力。己の許容範囲を越えようとするそれに想像を絶する痛みが少女に襲い掛かり、辺りには悲痛な絶叫が響いた。

「ハハハッ！！素晴らしい！！流石、 ――――― ！想像以上だ！！」

「 ── ッ、A！！」
「……ぁ…、」

揺さぶられる感覚に目を開ける。焦った様子の彼は目が合うと安堵したように息を吐いた後、私の頬に触れる。何かを拭うような仕草に初めて自分が涙を流していた事に気付いた。

涙を拭えば良いのか、ばくばくとやけに煩い心臓を押さえれば良いのか。自分でも混乱していれば、そっと抱き締めてくれるミストガン。彼の体温と、伝わる心臓の音。大丈夫と言わんばかりに頭を撫でてくれる彼に段々と落ち着きを取り戻す。

( 嗚呼、またソファで眠ってたのか ) 落ち着いたと同時に彼がシャワーを浴びに行こうとしていた事、私自身も寝る準備をしていた事を思い出す。歯磨きまで済ませた後、ソファの上で地図を見ている途中に寝落ちてしまっていたよう。

「少し待っててくれ」

自分の事は後回しに世話を焼いてくれようとしているのだろう。濡れた髪から彼の首筋へと雫が滴り落ちるのが見えて、引き留めようとしても身体が思うように動かずにソファへと倒れ込む。( 身体が、熱い……？ )

暫くして差し出された体温計。測ってみれば、いつもより遥かに高くて。風邪を引いた訳でも無いのにと思いながら、それをミストガンへと渡す。矢張りと頷いた彼は薄々気付いていたのかもしれない。

「ポーリュシカさんに診てもらった方が良いんじゃないか」
「ううん、大丈夫。……原因は分かってる」

あんな夢を見てしまった、理由も。

心配そうな表情で此方を見る彼に、髪乾かした方が良いと告げる。自分まで風邪を引いたら元も子もないと言う事は分かっているのか、私の身体にブランケットを掛けて、何か有ったら言ってくれと脱衣所の方へと姿を消した。

それにしても熱を自覚すると余計に辛い気がして小さく息を吐く。恐らく、ファントムや楽園の塔の一件の激戦で疲れが溜まっていたのもあるだろう。後者はミストガンのお陰で楽になっていたように思っていたけど、身体はまた別の話だったらしい。

何よりも身体の許容を超えた魔力は異常を起こす。全てはあの魔力に呑まれてしまった事から始まっている。魔力という事は、それに伴う器や精神力も持ち合わせなければならない。今の私には抱えられる程のそれは無かった。

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