( 3 / 3 ) 第三者視点 ページ23
「ここは……!?」
皆の笑顔の為に身体を投げ出したエルザが見たのは、残された者達が涙を流す未来。そんな未来を見たかったのではないと嘆いた時、彼女に差し込んだ光。
「「「エルザーー!!!」」」
彼女がハッとして目を開けた時、真っ先に入ったのは夜空に煌々と存在感を示す月。次にはバシャバシャと水の上を走る音が、エルザの耳に届く。
「良かったあ!!無事だった!!」
「どんだけ心配したと思ってんだ!!」
「姉さーーーん!!!」
彼女が其方を見た時、涙を流しながら駆け寄って来る仲間達が目に入った。
「ど…どうなってるんだ? 生きているのか? 私は……」
自分の掌を見つめながら、今の状況に戸惑うエルザ。そしてその時、自分が抱えられている事に気付く。其処にはじっと前方を見つめるナツと、その傍でフードを被ったAが立っていた。
「……ナツに感謝しなよ、エルザ」
「! ナツ……お前が私を……? でも……どうやっ……( あの魔力の渦の中から私を見つけたと…? な…なんという男なんだ… )」
その時、がくんと膝から崩れ落ちたナツ。その勢いでバシャッと海の水が大きく跳ねる。
「同じだ…」
「え?」
「私は妖精の尻尾なしでは生きていけない。仲間の居ない世界など考える事も出来ない」
「オレたちだって同じなんだ……二度とこんな事、するな…」
「ナツ…」
「するな!!!!」
「うん。ナツ…ありがとう」
仲間の為に死ぬのではない。仲間の為に生きるのだ。それが幸せな未来に繋がる事だから。── そう実感したエルザの両目から涙が伝う。8年前に潰された右眼、ポーリュシカの精巧な義眼を持ってしても流れなかった右眼から。涙が。
「 ── A。少し良いか」
シャワーを浴びて着替え、皆の治療に当たったA。自己回復は出来ない彼女の手当てには、二週間の休みを貰うという条件付きでフェニックスが。そして彼女は泊まりに来た訳ではないので、日帰りとなる。
身体を伸ばして海を見つめていれば、エルザがやって来た。彼女の口から出たのはあの塔から助かった理由と、玄武によって外に運び出されてグレイの造形魔法によって創り出した棺桶に眠るシモンの件。
あの塔の暴発を防いだのはジェラールかもしれない事。ゼレフの亡霊から解放されて昔のように優しい彼に戻り、エルザの代わりに魔力を空に逃がしたのかもしれないと。
後者はショウ達と話し合った結果、彼のお墓をカルディア大聖堂に作るということ。その件に関しては先にマグノリアに戻るAが請け負った。
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ムーン(プロフ) - とてもこの作品が好きです!更新頑張ってください! (2019年10月2日 23時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗葉 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/F0OOQB
作成日時:2019年6月25日 16時