FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ36)

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「同じ苦しみ、ね。…私より、魔力が多いマスターはもっと苦しい筈よ」

「！躱された…！？その姿は…！」
「Aーー！！へぶっ、」

聞こえた声にハッとして其方を見れば、アリアの発動したと魔法の中に居たと思っていたAがいつの間にか立っていて。歓喜の声を上げつつ、その姿をちゃんと見る前に上から降って来た何かに視界を塞がれた。

「ぷはっ」

激しく魔法がぶつかる音を聞きながら、もぞもぞと動いて光を探す。そして降って来たのがAの着ていた外套である事に気付けば、驚きながら彼女に視線を向ける。( あの姿は…！ )

「ふふふ…あの妖精女王(ティターニア)と並ぶ実力者。この私も本気を出さねば、なりませんな。── 来い、A」

Aが外套を脱いで顔を晒す事にも驚いたけど、その目に映った姿にはもっと驚きで。そんな中、目に巻いていた包帯を解いたアリア。その瞬間、彼の魔力が増えたのを感じた。

「死の空域〝零(ゼロ)〟発動。この空域は全ての命を喰いつくす」
「ヒッ…！」
「命を喰う魔法…？」

アリアを中心に部屋全体に襲う暴風にAの外套をぎゅっと掴んで、飛ばされまいと近くの柱にしがみつく。ビリビリと肌を刺激する魔力にぎゅっと目を瞑った。

「アンタ達は何でそんな簡単に人の命を奪える訳？人の命を何だと思ってるの…！！」

その時、部屋に満ちていた怖い魔力を押し返すように温かい風が吹く。勿論、風が吹いている事には変わりないから柱に掴まる手には力を入れたまま。けれど、目を開けることは出来て。

「貴女にこの空域が耐えられるかな？」
「勘違いしないでよ」
「な……ッ！！私の空域が奪われて…！」
「空気を操れるのは貴方だけじゃないって事！！」
「がふおっ」
「マスターがあんた如きにやられる筈が無い。今すぐ己の武勇伝から抹消しておきなさい」

アリアの方へと足を進めるA。進みながら手に纏わせた風を容赦なくアリアへとぶつける。その一撃で、アリアは戦闘不能。本来の姿へと戻ったAは倒れた彼を無表情で見下ろした。

「か、勝った…！すごい！」

風がぱたりと止んで、柱から手を離す。下手に離した所為でお尻を打ってしまったけど、立ち上がって状況を理解すれば、思わずぴょんぴょんと跳ねた。

その時、ぐらりと揺れた建物。突然の事にバランスを崩してAの外套ごとゴロゴロと転がる。( 痛い… ) 戦いと全然関係ないところで怪我を負ってる気がすると思いながら、顔を上げた。

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