FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ16)

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「ベリア語の呪文、月の雫。一つに集約された月の魔力は、いかなる魔法をも解除する力を持っている。それこそ、絶対解けないと言われている絶対氷結さえも」

ザルティの匂いを追い掛けて、地下に行くと言ったナツに任せて、私は月の雫の儀式とやらを確認する為に上を目指す。その間、私と契約する星霊の中で、一番の博識である玄武に月の雫の件について調べて貰っていた。( いかなる魔法をも…か )

「有難う、玄武。……そう言えば、朱雀は何か言ってた？」
「星霊界には戻って来ては居ないが、念話(テレパシー)が無意識に発動したのだろう…＂月ってこんなに近かったっけ＂等と良く分からぬ事は言っていた」

( 月が近い？ ) あの子の翼でも、流石に月まで飛んでは行けないだろう。けど、その言葉は妙に引っ掛かった。

「 ── オオオオオ！！」

「…ッ！？」
「主殿…！」

突如、響いた声。いや、そもそも声と判断していいのかすら分からない音。キンキンと頭に直接響く音に思わず、耳を押さえた。

「…ッ、急がなきゃ」

支えてくれた玄武に御礼を言って立ち上がると兎に角、上を目指す。途中で見えた魔法陣と紫の光。天井や床を関係無く、展開しているそれが噂の〝月の雫〟らしい。

「 ── オオオオオオッ！！！」

「デリオラらしきの声はするけど、〝月の雫〟の儀式は続行されている。という事は復活はまだ完全じゃない可能性も有る。まだ、阻止出来るかもしれない」

再び声と思わしき音が辺りに響き渡り、更には遺跡や空気が震え始める。然し、紫の光はまだ見えていて。希望的観測も含めてそう呟いては、足を早めた。

「…ひとり？」

遺跡の天井に着いて短銃を構えたは良いものの、儀式を行うと思われる場所に居たのはたったひとりで。( それも何で犬耳… ) 疑問に思う部分は多く有ったけれど、今は止めなければと風の銃弾を放った。

「おおーん！」
「……止まった、のか」

足元に放った事で其処から渦を巻くように現れた風がお祈りらしきモノをしていた男を吹き飛ばす。玄武の言う通り、それによって〝月の雫〟は止まったようだけれど ── 、

「もう遅ェんだよ！！！わかれよっ！！！」
「！」
「儀式はもう終わったんだよ！！！」

「 ── オオオオォォォォッ！！！」

先程まで魔法陣が展開していた場所が眩く光ったかと思えば、先程までとは比べ物にならない程に一際大きく響いたデリオラの声。ビリビリと肌を刺激する感覚が、デリオラの復活を告げていた。

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