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エルザはゆっくりと瞬きしてから話を再開した。
「詳しいことは移動中に話そう。この村は少し離れているがマグノリアから歩いていけない距離じゃない」
エルザは全員の顔を見回して続ける。
「幸い今はまだ早い時間だ。今から準備して出発すれば、夜には着けるはず」
特に異論はないので、その言葉にうなずいて用意のため一旦家へ戻ることにした。
「集合は二十分後、西の街道前だ。遅れるなよ」
というエルザの言葉を背に受けて、それぞれ準備に帰っていった。
マグノリアから西に延びる街道。周囲には平野が広がり、点々と木が立っているだけである。人の通る部分のみ踏み固められた土が顔をのぞかせている。薄い草の上を時折小動物が駆けるだけで、今は全く人影がなかった。
今しがた一人増えた五人以外には。
「ごめん!ちょっと遅くなった?」
息を切らして駆けてきたリサーナに、エルザは大丈夫だと声をかけた。
「時間通りだ。全員そろったな。それじゃあ歩きながら説明するから、ちゃんと聞いておけ」
特にそこの二人!と睨み合っていたグレイとナツをエルザが睨み付け、いつも通りなやり取りに苦笑を浮かべながらルーシィも歩き出した。
相変わらず大荷物なエルザの後を付いて歩く。エルザは依頼書をあらためて見ながら口を開いた。ちなみに、この道は一本道なので人が居なければ前を見ていなくても問題ない。
「まず、魔物といったが実際にはどんな生き物なのかは分かっていないらしい。最初は村人が村の北に広がる森の入り口付近で奇妙な唸り声を聴いたらしい。その人はそれを訝しく思ったがそのまま森に入ったらしい。幸いその日は何もなかったそうだ」
「声ぇ?森ン中に誰か住んでんのか?」
ナツが腕を頭の後ろに組んで少しだけつまらなそうに聞いた。
「依頼内容からしてそんな訳ねえだろ、バカ」
そんなナツにグレイが正論で突っ込む。ただし一言余計だったが。
「んだとグレイ!お前こそ、道の真ん中で服脱いでんじゃねえよ変態!」
「なっ!いつの間に!?」
「黙らんか!!」
性懲りもなく馬鹿な口論を繰り広げていたナツとグレイ。当然のごとく制裁を受けた。相変わらずエルザには頭が上がらない二人。
「まったく……。これから詳細に説明する。だから質問は説明し終えてからにしろ。解ったな」
エルザが厳しい顔で――主に二人に対して――言い、一つ咳払いしてから続きを話し始めた。
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理胡(プロフ) - もう更新されないんですか??すごく面白いので更新していただきたいです!!! (2020年4月3日 21時) (レス) id: 98dc83a74b (このIDを非表示/違反報告)
beeness - 面白いです!!続きを楽しみにしてます! (2018年9月27日 13時) (レス) id: 1f688be4c1 (このIDを非表示/違反報告)
リセッシュ - もう更新しないのですか?ずっとまってますからね((o(´∀`)o))ワクワク (2017年3月19日 20時) (レス) id: 1676d4189b (このIDを非表示/違反報告)
リセッシュ - つづきが気になります! 更新まってます (2017年2月4日 8時) (レス) id: 1676d4189b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 8bbb6dca12 (このIDを非表示/違反報告)
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