この薄汚れた世界の中で【2nd.】 (ページ7)

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#30 シシャ(福山side) ページ7

Aが見えなくなったのを確認してから､
｢さて､と…そこに居るのは分かってるんだし､
早く出てくれば?｣

他の奴に聞こえないようにそっと無線を切り､
近くの柱に視線を向ける｡
暗がりの中で微かに揺れる影｡

?｢はは､バレてたか｡見つけたよ"F-1126J"｣
そこから現れたのは､黒いコートに身を包んだ男｡

｢お宅の目的は"D-1978S"じゃないの?…幹部ｻﾝ｣
それは､かつて俺とAが居た所の幹部だった｡

幹部｢それはそうだが､邪魔が多くてね｡今日は"予行演習"って所かな?｣
｢だから"失敗作"の俺の所に来たって訳だ｣
幹部?｢出来損ないが何を偉そうに｡まぁ､いい｡
幹部の俺がわざわざ来たんだから､楽しませてくれよ?｣
｢は?何を……っ!!｣
後頭部に鋭い痛みが走り､思わずその場に崩れ落ちる｡何とか視線を上に向けると､いつぞやの仲間と思わしき男が立っていた｡

くそ､1人だけかと思って油断した…

男｢これでお前の居場所はないな｣
遠のく意識の中､腕にチクリとした感覚｡

幹部｢お前なんて､嫌われてしまえ｡そして帰って来い､F-1126J｣

｢あ"…がっ……は､ぅぁ……っ!!｣
今までとは比べ物にならない激痛がはしる｡
きっと目が覚めたら､俺は自我も無くなって暴れ回るんだろう｡そして､DABAも…Aも､見境なく傷つけてしまうに違いない｡それならば

｢ころ､し､てくれ……｣
震える指でイヤホンのマイクを入れて一言そう呟き､意識を手放した｡