花火を見上げる金魚。

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藤 ｢行く？｣








貴方が灰皿に煙草を入れ、そう言うから、

自分も灰皿に煙草を入れると、

ジュッと音を立て、煙草の火が消えた。



それを見て俺は、

線香花火が落ちた瞬間みたいだなと何となく思った。

そして同時に消そうと思って消せるなんて、









なんて儚い灯火なんだろう･･･、と。









でも羨ましい･･･、とも思った。









恋心もそうだったら良かったのに。

線香花火みたいに落ちたらおしまい！って。



打ち上げ花火みたいに打ち上げられて咲かなくても、

雨に降られたらもぉ無理だ、おしまい！って。



そんな風にすぐに諦めがついたらいいのに･･･。

片思いも楽しかったなって、

余韻はあっても未練なく終われたらいいのに･･･。









『バサッ』


藤 ｢大きい傘がもぉこれ1本しかなくてさ｣









なんで･･･

俺にはそうゆう潔(いさぎよ)さがないんだろう･･･。









藤 ｢でも駅までだし1本でもいいかなって思って｣









すぐ切り替えも出来なければ、

想いを伝えて当たって砕ける事も出来ない･･･。

さっきの話を確める事も･･･。









藤 ｢狭いけどちょっとだから我慢してね｣









こんなにずぶ濡れになっても消えない。

こんなに苦しくて寂しくても消えない。









藤 ｢ほら、行こ？｣


北 ｢･･･｣


『グイッ』


北 ｢！？｣


藤 ｢もっとこっち来ないとまた濡れるよ？｣









なんで花火みたいに美しく散る事も、

煙草みたいにッポイと気軽に消す事も、

俺には出来ないんだろうと、ダセェなって、

そんな事を思いながら入った貴方が広げる傘。



何となく少し離れた良い方が気がして、

傘の中に入ってから距離をとった。



すると濡れるからとそう貴方に肩を軽く抱き寄せられ、

拳1個半ぐらい開けた距離を意図も簡単に縮められ、

俺の肩は貴方にトンッと軽くぶつかった。









優しいのか素っ気ないのか、よく分かんない･･･









なんなんだよ･･･って、

そんな思いから不意に貴方を見上げた時、

ハッ･･･と目に映ったものに腑に落ちないものが落ち、

今の今まで悩んでたその答えが分かった気がした。









藤 ｢ちゃんと入った？｣


北 ｢･･･｣









ねぇ･･･、俺が悪いんじゃない･･･。









やっぱ･･･、いつもの通り貴方のせい･･･だ･･･。

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