ビー玉は知っている。< 3 >

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北 ｢コレ！2つとも太輔が持っててよ｣


藤 ｢え、2つとも？｣


北 ｢うん｣


藤 ｢なんで？1個は宏光が持ってれば？｣









折角の思い出だろ？と言えば、

いいの！と俺の手に無理矢理2つのエー玉を握らせた。









藤 ｢なんだよ、折角のお揃いなのに〜｣


北 ｢そんなの揃いで持ってどうすんだし(笑)｣


藤 ｢まぁ･･･確かに｣









正直なとこ、この硝子玉は役には立たない。

お揃いで持つと言ってもアクセサリーにはならないし、

何かに入れとくか、どこかにしまっとくかしかない。

会う度に持ち合って確認し合うのもおかしいし。









藤 ｢でも、折角割ったのに〜｣


北 ｢だから、一緒にしといてやってよ｣


藤 ｢？｣


北 ｢もぉ寂しくないように他のとさ｣


藤 ｢･･･｣


北 ｢それにっ！｣


藤 ｢ん？｣


北 ｢ソイツは太輔の傍にいたいんだって！///｣


藤 ｢･･･ん？(笑)｣


北 ｢ずっとずっと寂しかったから、｣









そんな寂しい世界から救ってくれたから、

ずっとずっと傍にいたいんだって！！

もぉ独りぼっちは嫌なんだって！！



って彼は視線を右へ左へと泳がせながら、

でも必死そうに俺にそう言った。

始めは何を言ってるんだと驚いたけど、

意味が分かれば俺の口角は緩むだけだった。

俺はギュッと握られた彼の手をとった。









藤 ｢独りぼっちになんかもぉしないよ｣


北 ｢･･･///｣


藤 ｢ずっと傍にいていいよ、もぉどこにも行くな｣









昔幼い時。いや、今もだけど。

何か無くす度｢何処に行った？｣って、

まるで物に足がはえてどっかを歩き回ってるような、

そんな言い方をしていたけど･･･本当は違う。



置いた場所、しまった場所を自分が忘れてるだけ。

昔無くしたビー玉のように。



悲しい事にどんなに大事な物でも、

忘れてしまったら見つけられない。

無くした物から歩いては来てくれない。









藤 ｢いや、違う、ごめん｣


北 ｢･･････違うの？｣


藤 ｢うん、傍にいていいとかどこにも行くなとか、｣


北 ｢･･･｣


藤 ｢そうじゃなくてさ･･･｣









きっと人も同じ。

折角繋がった縁でも名前を忘れたら声をかけられない。

些細な出来事も忘れてしまったら無かった事になる。

いくら相手が覚えててくれても、

こっちが知らぬ顔をしてれば声は掛けづらい。

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