ビー玉は知っている。< 3 >

< 98 > ページ1

.








ふと、蘇る記憶。

俺の心がザワザワと音をたてた。









藤 ｢本当に？｣


北 ｢え？うん｣


藤 ｢本当に本当？｣


北 ｢な、なんで？｣


藤 ｢いや、前は違う事言いたかったみたいだから･･･｣


北 ｢？｣









前、その笑い方した時、宏光は別の事を思ってた。

だから今回も俺に合わせたのかななんて思ったが･･･









北 ｢なんの事？｣


藤 ｢前はさ･･･あの、渉ん家でさ、ビー玉を･･･｣


北 ｢？？？｣









キョトンとしてるし、俺の気にしすぎかな。









藤 ｢いや、本当に楽しいし嬉しいならいいんだ｣


北 ｢えっ！？なんだしっ！気になるっ！！｣


藤 ｢いや、だからさ･･･(苦笑)｣


北 ｢んっ？｣









ビー玉を目にあてミツと同じだと笑う俺に、

彼は｢本当だ｣って笑ったんだ、今みたいに。

泣きそうにも穏やかにも見えるふにゃっとした顔で。

本当は自分とも同じだって言葉を飲み込んで。



そんな事を思い出したから、

今はどうなのかなって心配になったと彼に説明をした。

すると彼は｢あ〜･･･｣なんて宙を仰いだ。









北 ｢大丈夫、今回は一緒｣


藤 ｢本当に？｣


北 ｢本当に。ってかそんな事覚えててくれたんだ｣


藤 ｢まぁ･･･ね(苦笑)｣









数えきれないほど手紙読んで、

過ごした日を思い出しては後悔してました。

とは流石に恥ずかしくて言えない(苦笑)









藤 ｢じゃあ･･･さ、なんで今そんな顔したの？｣


北 ｢どんな顔？｣


藤 ｢なんか泣きそうな笑った顔｣


北 ｢どんなだよ(笑)｣


藤 ｢上手く説明出来ないけど悲しそうに笑ってた｣


北 ｢え〜？別になんも悲しくないけど？(笑)｣


藤 ｢でも、｣


北 ｢あ、でも、泣きそうではあったかも｣


藤 ｢なんでっ！？｣


北 ｢太輔が楽しいし嬉しいって言ったから｣


藤 ｢？？｣


北 ｢そう言ってくれたのが嬉しくて泣きそうになった｣


藤 ｢な、なんで･･･｣


北 ｢だって、太輔と同じなの嬉しい｣


藤 ｢･･･｣


北 ｢同じ気持ちになれて嬉しい！ｳｼｼ///｣









あ･･･









藤 ｢嬉しいの共有･･･だな｣


北 ｢そっ///｣









今度は満面の笑みを見せる彼に俺もつられて笑った。

彼がまた泣かなくて良かった。

じゃなきゃまた｢嬉しいの分担｣しなきゃだったからね。

やっぱ一緒に｢嬉しい｣って笑えあえる方が嬉しいよ。

< 99 >→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す