Lonely the weak ページ4
ごん。
全館に響く重苦しい音。
みんなは応援してくれる。けど、わたしにとってそれは重圧でしかなかった。
練習のときでさえ満足に決められないシュートを、なぜわたしに任せるんだろう。みな一様に笑いながらわたしを見ている。それは、ただの地獄でしか、なく。
本人達にそんな気はないのだろう。わたしだってわかっている。わたしだけが悪いんだって。
背後でなにか、動く気配がした。
「あ」
ゴールポストから外れて、わたしに帰ってくるはずのボールを相手チームの一人が弾いた。取るまではいかなかったのは、単に彼女の力不足か。
ああして彼女は、虎視眈々とボールを狙っていたのだろうか。満場がわたしを見守る中で、彼女一人。
それって空気読めてなくないか?!
叫びたい。たしかに試合の流れが止まったのはわたしのせいだけど、あれは見守るシチュエーションでしょ!もう少し頑張れば入ったかもしれないのに。
ボールのあとについて懸命に走る彼女は全く周りが見えている状態ではない。
でも。
さっき、わたし、ほっとした?
彼女がボールを弾いて、わたし一人にとってだけの地獄が終わった。そのことにほっとした記憶に一瞬で蓋をしたわたしは、なんて言えばいいの?
「ないす!」
わたしの手から弾かれたボールを難なくゴールに入れたチームメイトに、反射的に小さい声援を送って、わたしもまた駆け出した。
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しぇるふぃあ。 - 篠川梨麻さん» コメントありがとうございます!褒めていただいて顔が緩みまくってます(*^^*) 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2017年3月8日 15時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
篠川梨麻(プロフ) - 文がとっても綺麗で文学的?でした(語彙力)次の話もとっても気になります。「だん、だん」がめちゃくちゃ印象的でした。これからも楽しみにしてます! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 9534b32bfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぇるふぃあ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shelpla/
作成日時:2017年2月21日 16時