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Lonely another ページ5

走る私の頬を、冷たい風が引っ掻いていく。
運動神経が特別良いわけでもない私一人が駆け回ったって、試合の流れはなかなか好転しない。
だいたい相手チームがチートすぎるのだ。小回り、機動力、速さ、シュート率。それぞれが持っているものが被ることなく、絶妙なバランスでチームワークが成り立っている。
そして、経験者の中でもかなり強いであろう人が一人。
たかが授業でよくもこんなチームが、と言いたい。

ほら、また彼女の手にボールが渡った。

飛ぶように走り、気まぐれな風のように緩急のついたドリブルでコートを支配する、多分あのチームでの一番の実力者で経験者。彼女がドリブルすれば進んで挑戦する子はいないし、彼女がゴール下に攻めてくればボールを奪る気もリバウンドする気さえも削ぐ。このコート内に彼女に対抗し得る人は多分いないだろう。

だん、だん。
ゴール下に緩いドリブル音が響く。
誰もが彼女を遠巻きにして、まるで彼女を除いた全コートの時間が止まったみたいに。
誰も手を出さない。これまで授業をしてきてここまで周りがボールを奪りにいかなかったのは初めてかもしれない。いつもどおり、の極端化。

今日も彼女は不敵な笑顔でゴールに向かって跳んだ。綺麗な放物線。入った。

「ナイスシュート!」

それでも。
味方からの声援を受けて一層不敵に微笑む彼女の顔に、どこかやるせない淋しさを見てとったのは私だけだろうか。

ーー

バスケ授業シリーズ一応終わりです。

わかりあえ→←Lonely the weak



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しぇるふぃあ。 - 篠川梨麻さん» コメントありがとうございます!褒めていただいて顔が緩みまくってます(*^^*) 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2017年3月8日 15時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
篠川梨麻(プロフ) - 文がとっても綺麗で文学的?でした(語彙力)次の話もとっても気になります。「だん、だん」がめちゃくちゃ印象的でした。これからも楽しみにしてます! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 9534b32bfa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぇるふぃあ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shelpla/  
作成日時:2017年2月21日 16時

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