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「お弁当食べようと思ってきただけだから。」
すっと、合わさった視線をズラす小塚。高1男子の約6割は俺も含めて素直じゃないものだ。
もくもくと箸を動かす横顔に、気まずいと書かれていることに気づいてるんだろうか。
「いつからサボってたわけ?」
「3時限目から。」
「村木に呼び出されても知らないよ。」
「あー…どーすっかな。」
口では一応そういうものの、内心ではどうでもいい気がしている。
まぁ、その時その時でなんとかなるだろ。
事実、俺はそうやって何度も山場を乗り越えてきたし、
小塚自身もそういう性格だってことを知ってるから、本気で心配なんかしない。
俺も昼飯もってくればよかったかも。
ウインナーを食べる小塚の横顔を見て、漠然とそう思う。
ベンチから起き上がる。ずっと身を横にしていたからか、体が痛い。
大きく背伸びをすれば、控えめに目を伏せた小塚が口を開く。
「若武は、」
振り向いたその先、小塚はどこか悲しそうな表情をしていた。
少しの影を纏わせた横顔に、少しの申し訳なさが募る。
「いつから、アーヤの事好きだったの。」
お前が失恋したわけじゃないのに、何でお前がそんな顔すんの。
笑って、そういうことも出来た。
でも、小塚は優しい。優しくて優しくて優しくて…他人の痛みを自分の痛みのように
感じとってしまうほど、思いやり深い。
だから、今は、
「多分、最初から。」
胸に大きく開いた傷には、その優しさが沁みるほど痛かった。
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ショートピース - 最後まで感動してしまいました (12月3日 21時) (レス) @page18 id: 863f8c46c7 (このIDを非表示/違反報告)
Laso - 深い愛情が感じられました。この作品、何回読んでも胸がジーンとします。若武の暖かい優しさに、何度泣きそうになったことか…。感動をありがとうございました! (2019年4月4日 13時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - あけぼの7110さん» 失恋は辛いですよね……どんなに時間をかけてもいいので、小説に書いたように自分の気持ちを大切にされてくださいね。本当に嬉しかったです。意欲を貰いました……ありがとうございました<(_ _)> (2017年7月26日 19時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - あけぼの7110さん» あけぼのさん、届いたコメントを読んで今までにないくらいに本当に嬉しかったです。私の書く小説を通して、誰かに何かを伝えられたら何かその人の心に影響を与えられたら、と思いながら書いているので、そう言っていただけて本当に勇気をもらいました。 (2017年7月26日 19時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
あけぼの7110(プロフ) - すごく泣けました(T ^ T)若武の気持ちに少し共感する自分がいました。私もつい最近失恋してしまったんですけど、若武の十年後の話で私も少しずつでいいから進まなきゃと思いました。 (2017年7月25日 19時) (レス) id: 744a83138f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kobato* | 作成日時:2017年6月12日 18時