檻の中の妹さん ページ3
暗くて広い檻の中でエンナ天華は泣いていた
白いワンピースも今は涙で濡れてほとんどが黒い
監獄生活一週間。
まともな食事も出ず寝るときは固く、冷たいコンクリートの上
もともと細身の体はここで暮らすことで更に細くなっていた
腕や足はまるで太めの木の枝
指は少しの衝撃で折れてしまいそうなほど
腹は骨の形がはっきり見える
顔の明るい笑顔は消えていて、代わりに絶望に満ちた表情が広がっていた
目の周りは泣き過ぎたせいで赤く腫れ、視界も狭くなった
この部屋の中には彼女以外誰もいない
広い広い部屋の中ですすり泣く声だけが響いていた
齢4歳のその体ともとから弱いその心にこの世状況は過酷すぎた
栄養不足、睡眠不足と体質で熱を出しても看病する者も薬もない
天華「なぜ…なぜ…!あんなこと…全てはあの時…ｯ!あぁー!」
これがここに来てしばらくたってからの天華の口癖だった
ときには宮殿全体に悲鳴が届くこともあったという
監獄生活が始まり3年がたった
天華も、わけがわからぬまま天華と引き離された煌炎は7歳になった
3年たっても悲鳴も泣き声も収まることはなかった
でもある日、家来がいつものようにありえない量の食事を持っていったとき、泣き声も悲鳴も聞こえなかったという
黒く濡れた床に黒く染まったワンピースのか細い少女が座っていただけ
しかも、その少女の顔には笑顔があったとも。
訳がわからず立ち尽くしていた家来に少女から話しかけた
天華「あの」
家来「な、何だ!」
天華「あの、わたし、おべんきょうがしたいです。もうだれも よまないような ふるいほんでもいいので、ここにもってきてほしいです」
家来はそれだけなら構わないと思い言われた通り本を何冊か持っていった
次の日少女は
天華「きのうはありがとうございます。もっとたくさん ほんが ほしいです。できれば たくさんの かみと なにかかくものも。ちいさいのでいいです。ふるいものでも なんでもいいです。つかえるなら。」
家来はその日も、その次の日も、そのまた次の日も少女の言う通りにした
おかげで檻の中は本や紙で溢れかえっていた
あの日以来少女は泣くことも独り言を言うことも悲鳴を上げることもなくなかった
あの日から一年、家来が食事を持ってくると異変を感じた
天華が泣いていたのだ
家来が近づくと彼女が何を言っているのかが聞こえた
天華「いたいよ…いたいよ…」
どうやら足をぶつけたようだ
中途半端に終わります
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作者名：SF大好きE氏 | 作成日時：2021年9月23日 1時
