肆 ページ4
??「まあ―――
人に迷惑をかけない清くクリーンな自 殺が私の信条だ。だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度。何かお詫びを―――」
男が立ち上がり乍言いかけた時
――――――ぐうぅぅぅ
と大きな音がした。
??「……空腹かい少年?」
男が小さくクスと笑い乍聞いた
中島「実はここ数日何も食べてなくて……」
―――ぐぅうぅぅ
中島が言った瞬間、何やら聞き覚えのある音が聞こえた
??「私もだ。ちなみに財布も流された」
中島「ええ?助けたお礼にご馳走っていう流れだと思ってたのに」
??「?」
中島「「?」じゃねぇ!」
この男も男だが、中島の図々しさも中々である
?2「おォーい」
?3「生きてますかぁー?」
何の実も成さないだろう会話をしていた二人にどこからか声がかかる
対岸の方を見ると、青朽葉色の長髪を一つに結び眼鏡をかけた長身の如何にも堅物そうな男と、その後ろには、中島と同じ位の背丈の、眠たげな黒目に、黒い、少し跳ねた短髪の少年とがいた
?2「こんなところに居ったか唐変木!」
??「おー、二人共ご苦労様。生きてるよー」
この男の顔馴染みなのだろう。ニコニコと笑い二人に返事をした
国木田「苦労は凡てお前の所為だこのじ殺嗜癖!お前はどれだけ俺の計画を乱せば―――」
?3「五月蝿いですよ……」
上からな返事に対し長身の男は、説教を始めようとするが、少年も目の前の男も聞く気は無いらしい
??「そうだ君、良いことを思いついた。彼――背が高い方ね――は私の同僚なのだ。彼に奢ってもらおう」
中島「へ?」
国木田「聞けよ!」
……お察しの通り、蓬髪の男は聞く気なぞ微塵もない
??「君、名前は?」
中島「中島……敦ですけど」
中島は些か困惑しつつも応えた
??「ついて来たまえ敦君、何が食べたい?」
と蓬髪の男が問うと、中島は遠慮がちに
中島「はぁ……あの
茶漬けが食べたいです」
と応えた
すると蓬髪の男はどっと笑い出し、ニコニコし乍言う
??「はっはっは!餓死寸前の少年が茶漬けを所望か!
良いよ、国木田君に三十杯くらい奢らせよう」
?3「本人の与り知らぬ間に、良からぬ方向に話が進んでますけど……」
国木田「俺に金で勝手に太っ腹になるな
"太宰"!」
中島「"太宰"?」
中島は、聞き馴染みのない名に反応する
太宰「ああ、私の名だよ」
―――――太宰、太宰治だ
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神楽かな(プロフ) - 面白いですね! (2017年12月12日 1時) (レス) id: 01b9535641 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - ルルさん» 有難う御座います。御礼が遅くなり、申し訳ありません。これからものんびりではありますが、頑張って書いていくので、どうか御愛顧下さい。 (2017年11月5日 17時) (レス) id: 6797fe50b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かった!! (2017年10月17日 0時) (レス) id: 5f42220b54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無銘 | 作成日時:2017年5月5日 14時