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廿捌 ページ28

樋口「芥川先輩!」

芥川「退がっていろ、樋口。お前では手に負えぬ」

白虎の異常さに焦りを覚えた樋口が芥川を呼ぶが、あくまでも芥川は、白虎と戦う気らしい

だが矢張、今や白いだけで中身は野生の虎となんら変わり無い中島の頭には、届きはすれども理解なぞ不可能な訳で

芥川「疾いッ」

芥川が気付く頃には、その強靭な脚から成る跳躍力で、彼の頭上に居た

まあそれでも、芥川もそう易々とヤられる(ヤワ)では無いのだろう。直ぐ様黒獣で蜘蛛の巣の様な障壁を張る

瞬間、芥川の身体は宙に浮き、白虎が迫って来た勢いのまま、壁に叩き付けられる

あと少しでもでも遅かったら、と思うとゾッとする。それ程の速さだった

志賀「ちょっ、中島さん、止まってください!止まれ!!ああ、全く!!」

白虎の速さに追い付けず、樋口や芥川の周りをウロウロ走り回っていた志賀も、流石に腹が立って来たのか、ボソリと呟く

志賀「今更良い子ちゃん振ってても、意味なんてないのかもしれないですね……」

樋口「おのれ!邪魔だ、退け!」

志賀「――― ――――」

志賀が何かを云っていたが、そんな事は気にせず突飛ばし、樋口は銃を乱射した

しかし、白虎の強靭な肉体に、銃弾等通る筈も無く、先程の芥川の如く、それ等はカラカラと乾いた音を立て乍地面に落ちていった

樋口「銃弾が通らない……!?」

弾が通らずとも、当たりはする。
白虎は、標的を芥川から樋口に変更し、そちらへと二度(ふたたび)跳躍する

樋口「―――っ」

芥川「何をしている樋口!

『羅生門・顎』」

足がすくみ、上手く動け無い樋口の目の前に迄、白虎が迫った瞬間、ボリッ、と聞くに耐え無い音が聞こえた

大きく口を開けた黒獣が、白虎を真っ二つに喰い千切った音だ

樋口に大量の返り血を浴びせて、そのまま地面に叩き付けられる

芥川「ち……生け捕りの筈が」

数秒の間、白虎はそのまま地に伏していた。志賀は、何の理由からか、目を閉じてじっとしている。だが、何か悟ったかの様に、目を開く

誰も気付いていない、否、気付けなかっただけだが、この時志賀の両の瞳は柘榴石(ガーネット)のように紅かった

すると、白虎の体がどんどん消えていく。まるでそれが、"もとより存在していなかった"かのように

芥川「細雪……!」
志賀「巧くいった」

足下で、谷崎が笑う

芥川は其の時やっと、志賀の眼が紅い事に気付いた

芥川「!」

廿玖→←廿漆



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神楽かな(プロフ) - 面白いですね! (2017年12月12日 1時) (レス) id: 01b9535641 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - ルルさん» 有難う御座います。御礼が遅くなり、申し訳ありません。これからものんびりではありますが、頑張って書いていくので、どうか御愛顧下さい。 (2017年11月5日 17時) (レス) id: 6797fe50b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かった!! (2017年10月17日 0時) (レス) id: 5f42220b54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無銘 | 作成日時:2017年5月5日 14時

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