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「ごめんって。」

「まったく、毎月ひやひやする身にもなってよね……」

 
帰りの電車の中、そらるさんに突っ込みを入れる。
本当は帰り道違うんだけど、一緒に外出て改札で別れようとした時に
いい笑顔で「え?そっち行くの?」なんて言われたら逆らえませんね、はい。

 
「でもおかげで助かったよ、ありがとう。」

「いえいえ。」

 
っていうかこの人、私を付き合わせるのはいいけど
すぐに乗り換えだったよね……あれ、私何のために付き合わされてるんだろ。
まぁ、少しでも一緒にいたいからまぁ…いいけどさ。

 
「んー…この後は?暇?」

「まぁ、予定はないですよ。」

「ご飯でも食べにいこっか。」

「……え、珍しい。」

 
ひどいなぁ、なんてそらるさんは言ってるが、いや本当に珍しいのだ。
そらるさんは付き合う前も、付き合ってからも仕事が終わった後はまっすぐ家に帰るし
休みの日はだいたい家に引きこもってゲームしてるし。
デートで映画見に行こうって外に出るときは滅多にない。いつもデートは家である。
会社の付き合いの飲み会も、あんまり好きじゃないとめったに来ない。
私や小林さんが強制的に連れてくるくらいだ。そのそらるさんが…。

 
「そらるさんだってたまには誘うからね?」

「…仕方ないですね、行きましょうか。」

「素直じゃないな…。」

「いつもでしょ。」

「まぁ、そうだね。」

 
本来ならば、そらるさんが降りる駅を通り過ぎる。
この流れだと、終点の駅でってことだなぁ……私またそっちまで行くのかぁ。
そらるさんと付き合って、好きな人のためなら何でもって言うのが何となくわかる気がした。

 
「座ろっか。」

「だね。」

「なんか食べたいのある?」

「んー……」

 
駅ビル内って何あったっけ…そう言って調べだすそらるさんのスマホを隣からのぞき見する。
必然的に肩に頭をのせてる形になるが、これはもう気にならなくなった。
色々あるんだよなぁ………


 
「何でもいいよ、今日はAのおかげでノルマ達成できたし。」

「そらるさんがもうちょっと頑張ってくれたらもう少し早く終わったと思うけどね。」

「ま、Aがいるから大丈夫って思ってたってことにして?」

「それずるくない??」


 
そう言ってくるから、月末は嫌いじゃない。
そう言って、あなたが信頼してくれるから。それが嬉しいから。
忙しい月末の、ノルマ達成方法…そのカギは、私である。

終わり ログインすれば
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切り株(プロフ) - すみません!好評価しようとしたら間違えて低評価押しちゃいました!すみません。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月14日 21時) (レス) id: b071ec8f6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Elice | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年7月11日 17時

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