** ページ22
.
「お前らまだやってくの?俺先上がるよー」
「あ、お疲れ様ですこばさーん。」
「ほどほどにねー」
それからと言うものの、休憩から戻った私たちは再び書類の山と戦い始めた。
定時なんてあっという間に過ぎて、課長は帰ったし小林さんも帰ろうとしていた。
朝には山盛りだった書類の山も後は10件無いくらいだからこれを終わらせてしまえば
今月も終わりな気がする……頑張れ、あと少し。
「あー…疲れた。そらるさーん、そっちあとどれくらい?」
「んー…もう少し。」
「…その山は終わってるって解釈でいいよね?」
「さすがに終わってるよ。」
だったら少しは片づけなさいよ…と思いながら、彼のデスク周辺に山になっている書類たちを
整理して片づけていく。私と彼の机の間にあった互いが見えなくなる量の書類たちは
もうほとんどなくなっていた……はぁ、今日1日長かったな。
「あ、やっと見えた。」
「そらるさんが片付けてくれたらもっと早く見えてたと思う。」
「あはは…やってくれると思ってさ。」
「仕方ないですね。」
何ていうか、私はとことんそらるさんには甘い気がする。
付き合う前からだが、何ていうかほっとけない雰囲気があるのだ。
ただまぁ、先輩としてやってもらわないといけないものはちゃんとやってあげるが
出世欲もなく、人がいいそらるさんはいろいろな仕事を押し付けられていくから
それを少しずつもらっていくのが最近の私の仕事。
「よし、これで後実績だして終わりー」
「じゃあこっち片付けして鍵かけちゃうからそっちよろしく。」
「了解。」
2人の周辺を片付けて、キャビネットの鍵をかけていく。
ちらりと時間を見れば、午後9時前……うん、先月よりは早かった。
先月は11時行くか行かないかで、夜勤の人に何してんのって突っ込まれたほどだ。
「Aー」
「ん?」
「84%、今月もありがと。」
「よかった、よかった。」
「じゃ、片づけして帰ろうか。」
最後に勤怠入力をして、パソコンを落として終わり。
会社にいる人はまばらで、こちら側には誰もいない、そんな時間。
帰る支度が終わったそらるさんにクイっと手を引かれて職場を後にする。
「疲れたー、お腹すいたー」
「ふふ、お疲れ。ホントありがとう。」
「いつものことだし…いいよ、うん。」
エレベーターで2人、手をつないだまま笑い合う。
そんな時間が好きだから、たまにはこんな残業も悪くないよね。
403人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
切り株(プロフ) - すみません!好評価しようとしたら間違えて低評価押しちゃいました!すみません。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月14日 21時) (レス) id: b071ec8f6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ