【歌い手】職場恋愛【短編集】 (ページ20)

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Soraru　『ノルマの達成方法』ページ20

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「あー…これはやばいね。」

「だから3日前からそう言ってるじゃないですか！」

　
苦笑いしている先輩に突っ込みを入れる月末の今日。
私の部署では、依頼案件の達成率がノルマになっていてそれが80%超えていないといけない。
現在の達成率は73％、キャビネットの中には山積みになっている書類の山。
現在の時間は午前11時になろうとしている頃だろう。

　
「んー……どうしよっか。」

「いや、どうしようじゃないでしょ。やらないと駄目でしょ。」

「まぁ、そうなんだけどねぇー…」

　
そう言って、ヘラりと笑っているのはそらる先輩。
仕事はできるのだが、ものすごいマイペースで纏う空気もほわほわしている。
私と同じタイミングでこの部署に異動となっていて、それからというものの
何故か私が世話役になっているのだ。

　
「んー…Aさん。」

「ん？」

「小林さんたちに午後一気に回すんでお願いしますって伝えてきて。」

「……うわ、可哀想。」

「大丈夫でしょ。」

私の部署は部署内で大きく2つに分かれていて、そらるさんが書類の確認を行って
今言った小林さん……私達の先輩だが。が書類の郵送を行っているのだ。
私はそこをつなぐバランサー…といえば聞こえがいいが、全体的にサポートする役だ。

　
「さてと…まずはこれ、第1弾もっていってー」

「はいはい…」

　
郵送に回せる書類一式をもって、小林さんの元に向かう。
あのキャビネットの中身を失くして、今日到着した分も終わらせれば何とかノルマ達成するかな。
……っていうかこれ、今日何時に帰れるんだろう。

　
「こばさーん、これ第1弾でーす。」

「お、Aさんじゃん。…これ今日第何弾までくる？」

「んー…そらるさんやっとやる気になったから3弾くらいまでは来るんじゃないですかね。」

「相変わらず宿題は最終日にやるタイプだからな―そらる君。」

「すいません、うちのそらるがご迷惑を…」

「大丈夫、もう慣れた。」

　
笑いながら書類を受け取ってくれる小林さんに感謝しながらさて、この後は何からやっていこうか
なんて考えながら席に戻る。人間やることが多いと逆に何からしたらいいかわからなくなるものだ。
目の前で珍しく真剣な目をして仕事をやりだしたそらるさんを見て、サポートに入る。

　
「Aさん、これとそれ電話かけてくれない？」

「電話案件は月末やめてって言ったよね…？」

　

……もう少し早くに言ってほしかったです、それ。