【歌い手】職場恋愛【短編集】 (ページ19)

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それから俺達は、駅の近くのネカフェに向かった。
外の風に当たっていたからか、彼女の意識もだいぶ戻ってきたみたいで
ネカフェに入るまで終始、大丈夫ですとかゴメンナサイとか言ってた。

　
「今時のネカフェの2人スペースって広いのなー…」

「そうですね。」

「いいや、毛布とか取ってくる。」

「私も…」

「良いから酔っ払いは大人しく横になってて。」

「…はーい。」

　
彼女をスペースに残して、毛布とスリッパ。
後2人分のお茶をもって戻れば、おとなしく横になってる彼女の姿があった。

　
「ほい、お茶も持ってきた。」

「ホント何から何まですみません……」

「俺がしたくてしてるから気にしないで。」

「…ありがとう、ございます。」

　
そう言って毛布にくるまる彼女を見やり、スマホを見れば
この短時間でかなりの量のメッセージがたまっていた。

　
『で！？どうなったん！？』

『ホテルか？ホテルか？？』

「あいつら…今度会ったら覚悟しとけよ。」

　
100件ほどのからかいメッセージを送ってきた2人に『●ね』と送ってから
シフトを確認する、まーしぃは明日午後勤務。センラが夜勤…俺は休みとして。
……如月、こいつ朝からだけど大丈夫なの？

　
「如月、お前明日朝から？」

「そう…です。始発で帰ってお風呂入ってそのまま…」

「何つーか、タフだな。っていうかお前今日なんで来たの？」

「あー…あれは。」

　
そう言って苦笑いをする彼女。
何があったんだ？？なんて思っていたら、携帯を見せられた。
センラとのメッセージのやり取りだ。

　
「…ごめん、センラが。」

「いえ…私も飲みたかったですし。うらたさん来るっていうから……」

「何それ、俺が来なかったらどうしたの？」

「んー…行かなかったんじゃないですかね？」

　
そういってにヘラと笑う彼女。
これは……期待していいのか？俺が来ないと行かないってさ……期待しちゃうじゃん。

　
「そうだ、俺もさAって呼んでいい？」

「全然いいですよー…」

「ん、ありがと。…眠い？」

「少しだけ…」

「じゃあ、寝なよ。」

「…やです、もっと話してたい…。」

　
そう言って目をこする彼女が可愛くて、愛らしくて。
思わず頭を撫でようとした手をかろうじて止めた俺は偉いと思う。

　
「んじゃ、少しだけ話そうか。」

「やった…！」

　

ここから先は、俺と君だけの秘密の時間。
この後、距離が一気に近づいて恋人同士になるのはそれからすぐの事だった。