[男主]新聖、そして終焉。Q+r≠Q (ページ6)

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Want to live ページ6

これはひどい

誰かに助けを求めなきゃいけない

そう思い、今にも振り返って走り出しそうな僕の腕をAくんが掴んだ

『よばないで……お願いだから』

｢なっ……どうして！？こんなに血がでてるんだ！誰か……誰か呼んで助けてもらわなきゃ！｣

Aくんは頭を振る

そして眉を下げにっこりと笑うと僕の頬に手を添え

そしていつの間にか僕の目から溢れだしていた涙を指で拭った

すぐ近くにあるAくんの顔

Aくんの瞳はよく見るとカヲルより濃い色をしていた

近くで見るとわかるほどの色の違い

その瞳には涙が止まらない僕の顔が映ってる

『泣かないでシンジくん、僕は平気だよ。』

｢そんな……でも、でもAくん

沢山血が……出て……それで……｣

『大丈夫、大丈夫だよ

心配させてごめんね』

口元の血を拭い、心配で涙が溢れる僕を抱きしめる

鉄の匂いと、無機質ななにかの匂い

心臓の音は何事もないかのようにどくどくと音を立てている

ああ、生きてる

よかった

｢……分かったけど、今日はもう運動やめてね｣

『わかった。じゃあお喋りでもしようか？』

｢お喋りもダメ、血が出ちゃうかもしれないじゃないか｣

『そうだね……じゃあ今日はシンジくんが落ち着くまでそばにいよう』

本当なら彼の方がなく立場のはずなのに
怖くて僕の方が泣いていた

何故か、随分遠い昔にも誰か……誰か大切な友達が死んだ気がするんだ

僕はすごく悲しくて、辛くて、ごめんなさい。その感情と言葉だけ覚えてる

それ以上は思い出せないけど

Aくんは本当に僕が落ち着くまで隣を離れなかった

その優しさが、凄く嬉しかった

それと同時に辛かった

Aくんは泣かなかった

痛そうだったのに、血まではいて心臓を抑えていたのに涙をひとつも零さなかったんだ

泣いていいはずなのに……

何だかモヤモヤする……けど。僕は何も言えなかった