STEP41【すれ違いの方向性】 ページ37
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──目を開いた。
見え方はいつも通りの筈だった。
だが左右の目から見えるセカイは違っていた。
右眼から見えるのは暗く冷たい世界──硬い鉄格子や明かりの灯ったランタンが霞み歪んで見える。
俺はこの場所が牢屋の中だと初めて知る。
左眼から見えるのは真っ白で無形なセカイ──何も無い、ただ、何も無いセカイ。その左眼で何処を見てもひたすらに白く明るかった。
左右の目には真逆の世界が映し出されている。
「…………あーあ、遂に…か…」
いつかこうなるだろうと思っていた。だからなのかもしれない。特に左右の目の見え方の違いに対してそんなに驚く事も無く、寧ろ冷静に対応する自分が居た。
ゆっくりと冷たい床から重い身体を起こす。
ヒタヒタと指先で床を触れば、コンクリートの感触がした。どうやら俺は牢獄の床の上で一眠り着いていたようだ。
「……起きたん、ですね…どうっすか？調子は」
鉄格子の向こう側から声が聞こえる。
男の声──何処かで聞き覚えのある声だった。だが今の俺にとって、その声の主を思い出そうとする動作すら酷く気怠く感じ、脳が少しも動こうとはしない。
「…んー、そうだね…うん、大丈夫、皮肉にも生きているみたいだよ」
「…いや、生きてるかどうかじゃなくて…」
「…ん？君が望む答えと違ったかな？」
俺は首を傾げた。
「…はぁ…あんた、何で生きてるか死んでるかで身体の調子を判断するんですか。普通は傷が痛むかどうかやろ」
すると再び鉄格子の向こう側からその人物の声が聞こえる。今度は溜息付きで。
傷…？──あぁ、これの事か。
俺は着ているシャツを捲ってみる。見ればそこには真新しい包帯が巻かれていた。
その時不意に数日前記憶の記憶であろうものが蘇る。
あの時俺は背中に刀を突き刺され、地に落ちた。最後の記憶はオスマンとひとらんらんの顔。何故彼らが彼処に居たのかは知らないが、取り敢えず背中ぶっ刺されてよく生きていたものだと自分の生命力に苦笑いを浮かべる。普通は死んでも可笑しくは無い出血量だったのにな。
「この包帯、君がやってくれたのかい？」
「まぁ、応急処置ですけど…」
「そうか…ふふ、中々上手だね。ありがとう」
そう言ってニコリと笑う。まぁ、肝心の彼は俺から背を向けているようだが。
「……普段と様子が違いますね」
「普段？どうして君が普段の俺を知っているのかな？君とは初対面の筈だが」
彼の言葉に俺は首を傾げる。
「………いえ、上から最低最悪な悪人だと話を聞いていたんで」
「…あぁ、成程ね、そういう事か」とクスクスと俺は笑って見せた。
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
