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はらぺこインキュバス2 ページ2

そこには、考えてもみなかった!という顔をしたAがポカンと口を開けて目を丸くしていた。

「考えてもみなかった……!」
「ブフッ…!あっはっは」

しかも言った。わかりやすい質なのだ。これには加賀美も思わず吹き出し、さっきまで慌てていた事も忘れて笑う。

「ふふ、アナタね…なんて顔をしてるんですか…ンッフフ」
「なんか酷くね!?だって俺、ホントに考えた事なくて」

あたふたと喚くAは先程までの威勢は何処へやら、ダサいセンター分けで巨大な目をきょときょと弁明を始める。

「だってさあ!ハヤトはさあ!」
「フフ、なんですか…っ」
「なんか、捕食対象とかじゃなくて、おんじん?ていうか…特別で、俺にとって、初めての……」

加賀美は笑いすぎて目尻に浮いた涙を人差し指で拭い、一応真面目な顔をしてAの弁明を聞く。嬉しい事にAは加賀美を大切に思ってくれているらしく、捕食対象からは外していた。確かに彼を拾って育てたのは加賀美であるし、普通ではありえない速度で信頼関係を築いたという自覚もある。
それを【特別】と言ってくれるのは、加賀美にとっても嬉しくて、本当に好ましく思えたのであった。

「じゃあさ!ハヤトは俺とシてくれるわけ!?」

いつまでもクスクス笑いが止まらない加賀美にAは大きな声で啖呵を切る。そうだ、コイツはさっき「私じゃダメか?」という鴨が葱を背負って来るような発言をしたんだ。それならNOとは言うまい。ひとしきり笑われはしたが、確かに加賀美が供給源になってくれればこれ程いい事もない、気もする。鮮血の眼差しは欲望と葛藤の内に揺れ始めていた。

「いいですよ。男に二言はありません」

加賀美は笑いの名残で少しだけ高くした体温で答える。口から飛び出た言葉で慌てたとはいえ、深く考えれば悪い案ではない。友人関係を壊すこと無く、しかもAの不調も回復する。適役はやはり加賀美なのであった。

「───っ!?」
「どうしました?顔が赤い…さっさと済ませてしまいましょう」

コレに驚いたのはAである。まさかOKが来るとも思っておらずたじろぐ。

「や、待ってハヤト、俺心の準備が」
「そもそもアナタが早く私に言えばよかったんです。インキュバスの食事事情はよく分からなくて対応が後手になってしまった」
「ちょっと」
「心底辛かったでしょうに、我慢して偉かったですね」
「ん、やめっ」

つ、と頬を撫で、加賀美はAの口に優しくキスをした。

助言通り→←はらぺこインキュバス



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あい(プロフ) - 温帯亭気圧さん» ありがとうございます!誤字ってました…恥ずかしい… (1月5日 21時) (レス) id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - あいさん» リクエストありがとうございます〜!ちゃんと話を繋いで出来上がるまで少々お待ちください!ご心配もありがとうございます😌 (1月5日 19時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - リクエスト失礼します。本社で迷子になってしまっているところをymoiとkndに保護される内容を書いて欲しいです。最後になってしまいますが、いつも楽しく読んで頂かせています。大変なことが多々起こりますが、これからも体調に気をつけて元気に生活費して下さい。 (1月5日 10時) (レス) @page9 id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - 雨さん» めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます😭 (9月9日 22時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ好きです!!!!! (9月7日 12時) (レス) id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:温帯亭気圧 | 作成日時:2023年7月7日 22時

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